人を育てることをあらわす言葉として「後継育成」と「後進育成」がありますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「後継育成」と「後進育成」の違いについて解説します。
「後継育成」とは?
「後継育成」とは、「自分に代わり役目や立場を引き継ぐ者を育てること」を意味する言葉です。
「後継育成」の「後継」は「後継者」を意味します。
後継者とは「現在担っている役目や立場を自分に変わって引き継ぐ人」を指す言葉です。
「後継育成」では「自分が担っている役目や立場をこなせる能力があると期待される新人」が育成の対象になります。
才能ある有望な新人を育てて実力を磨き自分と同じくらいまで成長したところで役目や立場を変わってもらうのが「後継育成」の目的です。
「後継育成」の目標は「自分自身」です。
役目や立場をこなせる能力を身につけさせるのが本来の目的ですがその具体的な指標としては現在役目や立場をこなしている自分自身の能力が適切です。
次代を担うものとして能力を磨き自分と同じレベルにまで育て上げて立場や役目を引き継がせるのが「後継育成」の目指すべき目標です。
「後継育成」の使い方
・『築き上げた会社を存続させるために後継育成に力を入れる』
・『職人の世界はドコモ後継育成に悩んでいる』
・『後継育成を怠ったツケが後継ぎ不在という形で表面化しつつある』
・『後継育成には長い時間がかかる』
「後進育成」とは?
「後進育成」とは、「自分の後に続く者を育てること」を意味する言葉です。
「後進育成」の「後進」とは「自分が進んだ道を後からついてくるもの」を意味します。
簡単に言えば「後進」とは「後輩」や「若手」を指す言葉です。
自分が学んだ学問や習った技術、励んできたスポーツなどこれまで携わってきたジャンルに自分が関わったよりも後に関わりを持った者をさして「後進」と表現します。
「後進育成」とは「後輩や若手を指導して育てること」を表します。
主な目的は活性化でありジャンルを活性化させることで全体の水準を引き上げたり資金が集まるようにしたりなど、個別の人物を育成するのではなくジャンルの底上げを目的にしています。
「後進育成」の使い方
・『後進育成のために母校で部活を指導する』
・『ユースチームの指導を通じて後進育成に励む』
・『後進育成のために小学生限定の大会を開催する』
・『指導者になるだけが後進育成の手段ではない』
「後継育成」と「後進育成」の違い
「後継育成」と「後進育成」の違いは「育成する対象と目的」です。
「後継育成」が自分の後継ぎにするために特定の有望な新人を育てることを指す言葉なのに対し、「後進育成」はジャンルの活性化を目的に後輩を広く指導することを意味するという違いがあります。
育成終了後に自分の役目や立場を継がせるのが「後継育成」、育成終了後はそれぞれ自由に活躍するのが「後進育成」という違いでも区別されます。
まとめ
「後継育成」と「後進育成」は似ているようで大きく意味が異なる表現です。
目的も実際の育成方法も違うので混同することなくはっきり区別しましょう。