この記事では、「棟上」と「上棟」の違いを分かりやすく説明していきます。
「棟上」とは?
「棟上」は、木造住宅などで柱を立てた際、その柱の上に棟木という横向きの木材をはめ込むことを意味します。
この横向きの木材を持ち上げていくことで屋根のてっぺんに引っ付くことを「棟上」と呼びます。
「上棟」とは?
「上棟」は、自宅を立ててくれた大工さんに感謝をすることで、無事に住居に、「棟上」がついたことへの感謝のお祝いになります。
「上棟」は要は、家が無事できたという感謝のセレモニーのことです。
「棟上」と「上棟」の違い
両者の違いは、家が完成したというのと、その後のお祝いであるかです。
「棟上」は無事に自宅が出来上がったというだけを意味し、大工さんへの感謝は別に示しませんし、「棟上」が無事にできたかどうかについても大工さん側が決めます。
しかし、「上棟」は、大工さん側が完成させたものについて感謝を込める儀式になりますのでこの感謝を示すということは絶対に自宅ができていると断言できます。
よって、両者の違いは、家が完成したことを大工さん側だけが知っているか、皆が周知の事実として住居が完成したことについて喜んでいるかという違いです。
「棟上」の例文
・『棟上は、基礎工事が終わった後、最後の工程のことである』
この例は、住居の基礎が出来上がり、完成が近い状態だという例です。
「棟上」は基礎ができていますので後は、棟木を固定すれば、屋根と柱が引っ付いたということになり住居ができたとなるのです。
なお、この時点ではまだ、大工さんたちに感謝を伝える式典に移行しません。
「上棟」の例文
・『上棟式を執り行う』
この例は、無事に自宅が完成し、その感謝を大工さんに伝えるためのセレモニーを行うというものです。
ここに来て初めて大工さんに感謝を伝えるのですが、最近では、このようなセレモニーを開催せずに終わるケースも多く、工務店でもあまり式典を行わないケースもあります。
まとめ
「棟上」という住居の最後の仕上げですが、実はこの仕上げの工程は昔は、自宅を建ててほしいという依頼者側も立会いのもとで最後の完成を見つつ住居の完成を祝う式典に移行していました。
ですが、お仕事がある方の場合、自宅の完成と大工さんへの感謝を伝える式典の両方に出ることができないという問題が生じ始め、だんだんと姿を消しています。
もっと言えば、式典にお金がかかるうえ、自宅を建てるのにもお金がかかりますので、シビアな言い方をした場合、大工さんへの感謝を伝えるよりも自分たちが使用するお金を残しておいたほうがよいという考えもあり、式典を行わないケースをあえて選ぶことも多いです。
また、家自体もハウスメーカーが立ち入り始めると職人という方への感謝が薄れてきたり、ハウスメーカー自体がそうした式典と、家の完成が近いかだから来てくださいということを言わないケースもあり両者ともに聞きなれない言葉になっていったわけです。