「GDP」と「GNP」の違いとは?分かりやすく解釈

「GDP」と「GNP」の違いとは?専門用語・業界用語

一国の経済規模を表す指標として「GDP」「GNP」があります。

経済関連のニュースで耳にするこの言葉、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「GDP」「GNP」の違いについて解説します。

「GDP」とは?

「GDP」とは?

「GDP」とは、「国内で一定期間内に生産された付加価値の合計」を意味する言葉です。

「GDP」の正式名称は「Gross Domestic Product」であり頭文字をとった略称です。

直訳すると「国内総生産」となる「GDP」が示しているのは「ある国において一定期間内に生産された財とサービスの付加価値総計」です。

経済において労働によって価値が上がったとき、その上昇した価値のことを「付加価値」といいます。

例えば100円で小麦粉などの原材料を購入してパンを作り150円で販売した場合、労働によって上昇した50円分が付加価値にあたります。

経済とは付加価値を生み出す活動である、というのが近代経済学の基本的な考え方です、生み出される付加価値が多ければ多いほど経済的には豊かであり付加価値が少ないほど貧しいとみなされます。

「GDP」は一国における付加価値を生み出す力を示すものであり、一般的には国の経済力を示すものとして扱われます。

「GDP」が高い国ほど経済活動が活発で「GDP」が低下すると経済が弱いということになります。

「GDP」には支出面からとらえる方法、生産面からとらえる方法、分配からとらえる方法の3種類がありますが原則的に3つの数字は一致します。

「GDP」の使い方

・『今年のGDPは事前予想を大きく下回った』
・『GDPの落ち込みが続くと先行き不安が高まる』
・『原油価格の高騰がGDPにも強く影響している』
・『世界各国のGDPを比較する』

「GNP」とは?

「GNP」とは?

「GNP」とは「国民が一定期間内に生産した付加価値の合計」を意味する言葉です。

「GNP」の正式名称は「Gross National Product」で日本語に訳すと「国民総生産」となります。

「GNP」の基準となるのは「国民」です。

日本の場合は「日本人が一定期間内に生み出した剤とサービスの付加価値合計額」「GNP」にあたります。

「GNP」は一国の経済規模を示す指標として長く利用されてきましたが国民という基準は一国の経済規模を正確に反映させるのにふさわしくないという欠点がありました。

例えば海外への投資活動からの所得が大半を占めている夜うな極端な国家が存在した場合「GNP」の数字と国内の実質的な経済規模には大きな差が生じます。

このように経済実態を正確反映させない欠点があることから現在では一部を除き「GNP」という指標は使われていません。

「GNP」の使い方

・『過去のGNPを調べる』
・『GNPは一国の経済規模を示す指標として長く使われてきた』
・『GNPの計算は複雑で長い時間がかかる』
・『統計が不正確だと正確なGNPが算出できない』

「GDP」と「GNP」の違い

「GDP」と「GNP」の違い

「GDP」「GNP」の違いは「海外からの純所得」です。

国内で一定期間に生産された付加価値の合計が「GDP」ですが「GNP」「GDP」に海外からの純所得を加えたものです。

その国が海外に保有している資産からの所得なので国民が生産した付加価値とみなされますが、国内という地域から生じた付加価値ではないので「GDP」では海外からの純所得が含まれません。

まとめ

まとめ

「GDP」「GNP」はどちらも国の経済規模を示すものですが現在は「GDP」が主流で「GNP」はほとんど使われていません。

古い統計には「GNP」が使われていることが多いので注意してください。