「二胡」と「胡弓」はどちらも擦弦楽器の一種ですが、特徴などが異なるため区別して覚える必要があります。
この記事では、「二胡」と「胡弓」の違いを分かりやすく説明していきます。
「二胡」とは?
「二胡」は「にこ」と読む言葉で、「中国の伝統的な擦弦楽器のひとつ」を意味します。
「擦弦楽器」とは「弦を弓でこすって演奏する楽器」のことで、例としてバイオリンやチェロなどが挙げられます。
「2本の弦で奏でる」ことが名前の由来になったと伝えられ、楽器を膝に立てて弓で弦を引いて演奏します。
「胡弓」とは?
「胡弓」は「こきゅう」と読む言葉で、「日本でほぼ唯一の擦弦楽器」を意味します。
弦は3本または4本で、三味線を小さくしたような形をしており、膝の上に立てて演奏します。
上記のほか、「東洋の擦弦楽器の総称」という意味で使用されることもあります。
「二胡」と「胡弓」の違い
「二胡」と「胡弓」は弓で弦をこすって演奏する擦弦楽器の一部で、双方とも楽器を膝に立てて演奏するという共通点がありますが、それぞれの見た目や特徴に違いがあります。
「二胡」は「中国の伝統的な擦弦楽器」のことを指し、長さは80cm程度で、円筒や六角筒などの胴に蛇皮を張り、馬の尻尾で作られた弓で2本の弦を引いて演奏します。
京劇などの伴奏に使用されるほか、独奏楽器としても普及しています。
一方、「胡弓」は「日本でほぼ唯一の擦弦楽器」のことを指し、三味線を小さくした形状が特徴的で、70cm程度の長さがあります。
胴は四角形で猫皮が張られ、馬の尻尾から成る弓を3本または4本の弦に当てて音を鳴らします。
筝曲や地歌などにおいて三弦や箏と合奏されるほか、歌舞伎や文楽、民謡などの伴奏に使用されたり、独奏楽器として用いられたりすることもあります。
さらに「胡弓」は演奏方法も独特で、「弓の角度を変えずに楽器を左右に回すこと」で音を奏でます。
なお、「胡弓」の場合、広義には「東洋の擦弦楽器の総称」という意味もあり、この意味においては「二胡」を「胡弓」と呼ぶケースもみられます。
「二胡」の例文
「二胡」は「中国の伝統的な擦弦楽器」を意味しますが、「胡弓」の広義での意味に含まれることから状況や文脈によっては「胡弓」と呼ばれることもあります。
用法としては、「二胡を演奏する」や「二胡を習う」などがあります。
・『二胡を演奏する際は椅子に浅く座ることがポイントだ』
・『近所に二胡教室ができたので二胡を習うことを検討している』
・『最近では、二胡のオンラインレッスンも普及しつつあるらしい』
「胡弓」の例文
「胡弓」は「日本でほぼ唯一の擦弦楽器」のことを指すほか、広義では「東洋の擦弦楽器の総称」という意味も持っており、「胡弓を演奏する」や「胡弓教室」といった使われ方をしています。
なお、一般的に楽器を演奏する際は「弾く」という表現を使いますが、「胡弓」の場合は「弾く」ではなく「擦る」と表されていた時代があったようです。
・『歌舞伎の壇浦兜軍記の見どころは阿古屋による琴責めだが、今回は特に胡弓の演奏が素晴らしかった』
・『胡弓の教室で越中おわらを習うことになった』
・『祖母は三味線と胡弓をたしなんだ経験がある』
まとめ
「二胡」と「胡弓」は似て非なる楽器であり、それぞれの見た目や特徴に違いがあることが分かります。
両者の正しい意味を知り、区別して認識できるようになりましょう。
ぜひ参考にして、言葉や楽器に関する知識を深めてください。