「誰しも」と「誰でも」は「誰」に「しも」が付くか「でも」が付くかによって、ニュアンスが少し変わっています。
この記事では、「誰しも」と「誰でも」の違いを分かりやすく説明していきます。
「誰しも」とは?
「誰しも」は「誰も」を強調した言い方です。
一つは「誰だって~だ」「誰もが~だ」のように、対象者となる「誰」の状況を強調したり断定したりする意味を持ちます。
もう一つは「誰もが~ない」と否定形文を伴って「誰でも~とは限らない」と、文の内容を部分的に否定する効果をもたらします。
「しも」は名詞や助動詞などに接続して、それらの意味を強調する連語です。
続く文に「ず」「ない」などの打消しの助動詞が付くと、部分的に強く否定する内容に変わります。
「誰しも」の使い方
「誰も~だ」と状況を説明するとき、その状況を強調したいときに「誰しも」を使います。
たとえば「誰も成功を願っている」と「誰しも成功を願っている」は、どちらの内容とも万人が成功を願っているところは同じです。
ただ、後者の「誰しも~」のほうが「誰もが成功を願わずにはいられない」と断定しているニュアンスになり、「誰も~」より強く印象に残る表現になります。
また「誰もが~とは限らない」と部分的に否定したい場合は、打消しの助動詞を伴って「誰しも~ない」と否定形で説明します。
たとえば「誰しもバナナが好きではない」は「バナナが好きな人ばかりとは限らない」という意味になります。
「誰でも」とは?
「誰でも」は、条件を問わず誰もが状況に該当することを強調する言い方です。
言い方を変えると「誰だって」「どのような人でも」になります。
「でも」は「~であっても」と同じ意味を持つ接続助詞で「~であっても変わらない」ことを強調します。
つまり「誰でも」は、どのような人でも該当することに変わりない、言い換えると「条件に関係なく誰も~可能だ」と全ての人を許容する言い回しに変わります。
「誰でも」の使い方
どのような人でも対象に該当することを強調したいときに「誰でも」を使います。
たとえば「誰でも入会できる」は「属性に関係なく、全ての人が入会を認めてもらえる」という意味になり、そのサービスは門戸を広げている、利用しやすい、といったポジティブなイメージが伝わる説明になります。
「全ての人が入会できる」と状況は同じですが「誰であっても」と強調することで、より気軽に利用できる印象の言い回しになります。
「誰しも」と「誰でも」の違い
「誰しも」と「誰でも」は、どちらも「誰も」を強調する言い方ですが、それぞれの意味は異なります。
「誰しも」は「誰だって~に決まっている」と状況を強調するとき、あるいは打消しの語を伴って「誰もが~とは限らない」と部分的に文の内容を否定するときに使います。
「誰でも」は、条件を問わずあらゆる人が状況に該当する場合に使います。
「誰も有名人になれる」という文を使って比べてみましょう。
「誰しも有名人になれる」に変えると、全ての人がお金持ちになれると断定するニュアンスが生まれ、「誰しも有名人になれない」にすると「誰もが有名人になるとは限らない」と部分的に否定する内容に変わります。
「誰でも有名人になれる」だと、全ての人に有名人になる権利がある、という言い回しになります。
このように「誰しも」と「誰でも」を使い分けると、文の意味や雰囲気が微妙に変わってしまうのです。
まとめ
「誰しも」と「誰でも」は文字が一字違うだけですが、意味や作用は異なります。
日常的によく使う言葉なので、正しい意味を理解して上手に使い分けていきましょう。