この記事では、「たたき上げ」と「成り上がり」の違いを分かりやすく説明していきます。
似ている語を、区別していきましょう。
「たたき上げ」とは?
「たたき上げ」とは苦しい時間を過ごしたあと、大輪の花を咲かせた成功者のこと。
下積み時代の長かった、苦労人をあらわす言葉です。
もともとは鳶や畳など、一部の職人さんの間で用いられていた言葉です。
時代とともに芸能界や一般企業の世界でも、よく使われるようになりました。
そもそも「たたき上げ」の「たたき」とは「三和土」のこと。
土間をつくる際に、何度も叩いて打ち付ける動作をあらわしたものです。
一人前になるには、こうした小さな仕事を積み重ねることが重要だったため、「たたき上げ」という用語が生まれるようになりました。
必死に仕事をしてきて、自分の力でのぼりつめた人が「たたき上げ」です。
「成り上がり」とは?
「成り上がり」とは普通の人が、ひと晩でお金持ちになること。
たまたまの運をつかんで、セレブになる様子をあらわしています。
平凡な人が、一気に高い役職につくことが成り上がりです。
もともと「成り上がり」という言葉は「成り上がる」が変化したものです。
「成り上がる」には、卑しい身分の人が偶然が積み重なって出世するという、負の意味合いがあります。
そのため教養のない人が、金持ちになって浮かれていることを「成り上がり」といいます。
ばかにする気持ちも混じった、中傷めいたフレーズです。
「たたき上げ」と「成り上がり」の違い
どちらも「上がる」という漢字があるので、間違えやすいです。
「たたき上げ」と「成り上がり」の違いを、分かりやすく解説します。
・根性のたたき上げ、成金の成り上がり
「たたき上げ」と「成り上がり」は、どちらも「下の人が上の地位につく」という共通した訳があります。
けれども語句の背景は、それぞれ異なっています。
「たたき上げ」はアルバイトから社長になったような、生命力あふれる人を指します。
汗水たらして、はい上がってきた苦労人がたたき上げです。
一方で成り上がりは、たまたま巨万の富を得た人をいいます。
表向きは金持ちに見えても、中身はスカスカで中身の無い人に対して使います。
苦労したことのない未熟者に用いるので、陰口を叩くときに利用されています。
「たたき上げ」が体育会系の明るい言葉であるのに対して「成り上がり」はいけ好かないシーンで用いる、暗い言葉です。
雰囲気はまったく異なるので、注意しておきましょう。
まとめ
「たたき上げ」と「成り上がり」の違いを分かりやすくお伝えしました。
「たたき上げ」とは、苦労に苦労を重ねて成功した人のこと。
実力者です。
一方で成り上がりとは、低い地位の人が一気に金持ちになること。
世間知らずの成金に対してつかう、非難めいた言葉になります。
たたき上げがポジティブな意味で使われるのに対して、成り上がりはネガティブなシーンで使用されています。