「逆らう」と「抗う」は類似した意味を持つ似た言葉です。
「逆らう」という表現は「親に逆らって友達とライブに行きました」などの文章で使い、「抗う」という表現も「独裁者に抗ってデモを計画しました」などの文章で使われますが、「逆らう」と「抗う」の意味の違いはどこにあるのでしょうか?
「逆らう」の意味や使い方
「逆らう(さからう)」という表現は、「上司・先輩・親など目上の人の意見・指示に従わないで、歯向かったり反抗したりすること」を意味しています。
また「逆らう」には、「物事の自然の勢い・流れに従うことなく、その逆の方向へ進もうとする」といった意味もあります。
「逆らう」の表現の使い方は、「自分よりも年齢・職位・立場などが上の相手に対して、従わずに歯向かったり盾突いたりする場合」に使うという使い方になります。
例えば、「ワンマン社長に逆らった部長は、報復人事で地方の小さな支店に飛ばされました」などの文章で使われます。
「抗う」の意味や使い方
「抗う(あらがう)」という表現は、「自分を支配したり自分に強制したりしてくるもの(権力)に従わず抵抗すること」や「自分よりも強い権力・影響力を持つ相手(組織)に対して、歯向かって抵抗すること」を意味しています。
「抗う」の表現の使い方は、「主に自分よりも強い力を持つ相手・組織(国家など含む)に抵抗する場合」に使うという使い方になります。
例えば、「横暴な社長に抗って、強い調子で反論しました」などの文章で使われます。
「逆らう」と「抗う」の違い
「逆らう」と「抗う」の違いは、「逆らう」という表現は「すでに知っている人で、(親・上司・先輩など)目上の相手に従わずに反抗する」ということを意味しています。
それに対して、「抗う」という表現は「はじめから敵対関係にある自分よりも強い権力・影響力を持つ相手に抵抗すること」を意味しているという違いがあります。
「逆らう」は「目上の相手に反抗する・元々ある程度親しいか知っている人に反抗する」に意味の重点がありますが、「抗う」は「はじめから敵対関係にある相手(あるいは強い力を持つ相手)に従うことを拒んで抵抗する」に意味の重点があるという違いがあるのです。
「逆らう」を使った例文と意味を解釈
「親は離婚経験がある彼女との結婚に反対でしたが、私は親に逆らって好きな彼女との結婚を決断しました」
この「逆らう」を使った例文は、「逆らう」という表現を、「私は親に従わず歯向かって(反抗して)、好きな彼女との結婚を決断した」という意味合いで使用しています。
「抗う」を使った例文と意味を解釈
「時代の流れに抗って、私はかたくなにスマートフォンの所有・使用を拒否し続けていましたが、遂にスマホに機種変せざるを得なくなりました」
この「抗う」を使った例文は、「抗う」という表現を、「(大多数の人が抵抗することが難しい)時代の流れに従わず抵抗して」という意味を持つ文脈で使っています。
まとめ
「逆らう」と「抗う」の意味の違いについて説明してきましたが、「逆らう」の表現は「元々の知り合いかつ目上の相手(親・上司・先輩など)に従わずに反抗すること」に意味の重点があります。
それに対して、「抗う」の表現は「自分よりも強い権力・影響力を持っている相手に従わず、盾突くこと(歯向かうこと)」に意味の重点があります。
「逆らう」と「抗う」の意味の違いを正しく理解して、内容や文脈・状況に応じて的確に使い分けるようにしましょう。