老舗や名店の看板に書かれている言葉として「宮内庁御用達」と「献上品」があります。
この言葉が書かれているだけでなんだか高貴で立派な品物だというイメージがありますが、具体的には一体どのような意味なのでしょうか。
今回は、「宮内庁御用達」と「献上品」の違いについて解説します。
「宮内庁御用達」とは?
「宮内庁御用達」とは「宮内庁と取り引きのある店」という意味です。
「宮内庁御用達」の「御用達」には「王室や貴族など身分の高い相手から取り引き指定を受けて物品を納める」という意味があります。
そのような高貴な存在は物品の取り引きを特定の業者を指定して任せます。
取り引きを任せられた業者は後期な存在の指定を受け取引していることを示す意味で「御用達」を掲げます。
「宮内庁御用達」は宮内庁に指定された取引業者という意味があります。
もともとは明治時代につくられた制度であり法律に基づき皇室への納入を許可された業者のみが「宮内庁御用達」を掲げることを許されていましたが、1954年に制度は廃止されました。
制度廃止以降も宮内庁御用達」を掲げる店がありますがこれはたんに皇室と取り引きがある、あるいは過去にあったことを根拠にした自称であり法的な裏付けはありません。
宮内庁が公式に御用達を認めた業者はなく実績を元に各業者が自称しているにすぎないのが現状です。
「宮内庁御用達」の使い方
・宮内庁御用達の名品を購入する。
・品質の高さはさすが宮内庁御用達だ。
・宮内庁御用達の店だからさぞかしいいものが買えるだろう。
・値が張るが宮内庁御用達と聞けば納得だ。
「献上品」とは?
「献上品」とは「身分の高い存在に対し無償で差し出される物品」のことです。
「献上品」の「献上」には「差し上げる」という意味があります。
自分よりも身分や立場が上の人に対して無償で物品を渡す行為が「献上」であり「献上品」は差し出された物品そのものを指しています。
「献上品」は通常無償で引き渡される物品を指します。
一方的に無償で物品を渡すことで忠義や親愛を示します。
献上品を受け取った側は金銭などを直接対価として引き渡すことはありませんが身分や称号、場合によっては物品などで献上品を差し出した労に報います。
「献上品」の使い方
・献上品だけあってさすがの出来栄えだ。
・献上品と同じ品物を購入する。
・このお菓子はかつて献上品として使われた実績があります。
・反抗の意思がないことを献上品で示す。
「宮内庁御用達」と「献上品」の違い
「宮内庁御用達」が宮内庁との取り引き限定の言葉であるのに対し「献上品」は高貴な存在一般に使われます。
「宮内庁御用達」が宮内庁との取り引きであり通常の商取引として代金が支払われているのに対し「献上品」は無償で差し出されます。
宮内庁に物品を引き渡した場合、代金が発生していれば「宮内庁御用達」無償なら「献上品」となります。
まとめ
「宮内庁御用達」と「献上品」はどちらもかつて使われていた言葉です。
現在使われているのは慣習として残っている物がほとんどです。
ブランド価値として掲げられることもありますが何を意味するのかよく知っておかないと誤解しかねないので注意してください。