この記事では、「コンプレックス」と「トラウマ」の違いの違いを分かりやすく説明していきます。
「コンプレックス」とは?
「コンプレックス」は心理学や精神医学において、複雑な形で入り混じる感情の複合体を表す概念です。
英単語では“complex”と表記し“complex”自体には、入り組んだ、複合、という意味があります。
専門的な説明になりますが、精神分析における「コンプレックス」は「さまざまな心理的要素が複雑にからみ合ったまま心の中に抑えつけられ、無意識に表面上の言動に影響すること」となります。
「コンプレックス」は西洋医学で誕生し、日本に入ってきた用語です。
そのひとつに、自分は他人より劣っているという否定感を伴う「劣等コンプレックス」があります。
日本では「コンプレックス」といえば主に「劣等コンプレックス」を指して使われるようになりました。
一般に「コンプレックス」は、過去の経験に伴って生じた観念や欲求などが心の内にあり、本人の意識しないまま、こだわりや劣等感となって言動を左右することを指しています。
その一例が、母親に強い愛着を持つ「マザーコンプレックス」や少女に興味を示す「ロリータコンプレックス」などです。
また、心理学・精神医学以外における「コンプレックス」は、物理的、化学的に物質が複合化する現象を表します。
「コンプレックス」の例文
・『私のコンプレックスは背が低いことだ』
・『憧れていた大学の受験に落ちてほかの大学に進学したことが、ずっと学歴コンプレックスになっている』
「トラウマ」とは?
「トラウマ」とは、過去に体験した出来事が原因で、精神的な傷を負うことです。
「心的外傷」ともいいます。
語源は傷を意味する“trauma”にあり、英語では“psychological trauma”と表記します。
日本では単に「トラウマ」と呼び、肉体的な外傷とは区別しています。
「トラウマ」は、過去に体験した肉体的または精神的な衝撃が原因となり、心身にさまざまな影響を及ぼすことを指します。
原因になりやすいのは被災、虐待、暴力など強いストレスを伴う出来事です。
衝撃を受けると脳内で神経伝達物質が過剰に分泌され「トラウマ」のきっかけとなる衝撃が記憶によみがえるたびに、心身の苦痛を伴います。
また「トラウマ」によって心身の苦痛が持続する状態は「心的外傷後ストレス障害」と診断されます。
「トラウマ」は一過性で消える軽いものもあれば、長期にわたって本人を苦しめることもあり、自然に治らない場合は専門治療が必要となります。
「トラウマ」の例文
・『小さい時におぼれたトラウマで、今でも海を見ると足がすくんでしまうんだ』
・『失敗して大けがしたトラウマを克服し、オリンピックで金メダルを獲得する』
「コンプレックス」と「トラウマ」の違い
「コンプレックス」と「トラウマ」の違いの違いを、分かりやすく解説します。
「コンプレックス」は、その人の言動に無意識に影響する、心の内にある複雑な感情のことです。
劣等感が言動に影響を及ぼす「劣等コンプレックス」が周知されています。
「トラウマ」は、過去に受けた強い衝撃が原因で心に傷を受けることです。
「コンプレックス」の原因は過去の失敗や挫折感にあることが多いですが、「トラウマ」は事故や暴力のような強い衝撃が原因で起きているところが大きく異なります。
まとめ
「コンプレックス」と「トラウマ」はどちらも精神医学で使われる難しい用語です。
互いによく似ていて混同しがちですが、正しい意味を理解した上で適切に使い分けをしていきましょう。