この記事では、「へりくだる」と「謙虚」の違いを分かりやすく説明していきます。
「へりくだる」とは?
「へりくだる」とは、相手を敬い立てるため慎んだ言動をとることです。
「へりくだる」と同じ意味を持つ言葉に「謙る」【へる】があり、「へりくだる」は古い言葉で由来ははっきりしていませんが「謙る」と「くだる」から派生していることが考えられます。
「謙る」は慎んで相手より低い言動をとること、「くだる」は低い位置に行くことを表しています。
このことから「へりくだる」には、相手より立場が上にならないよう一歩下がった言動をとる様子がうかがえます。
「へりくだる」は、相手に失礼のないようマナーにそった言動をし、相手を立てることを指します。
まず自分と相手の間にある関係性を考え、次に相手の立場が上になるよう言葉遣いや所作で自分を低く下げるのです。
たとえば、相手を敬って尊敬語や謙譲語を使う、上下関係に合わせ正しい作法を使うことなどがあげられます。
類語は「謙遜」【けんそん】、「卑下」【ひげ】です。
「謙遜」は控えめにふるまうこと、「卑下」はあえて自分を見下すことです。
相手より低い言動をとるところが「へりくだる」と共通しています。
「卑下」は必要以上に自分を低く評価しているためニュアンスは異なります。
しかし「へりくだる」や「謙遜」も度が過ぎると「卑下」と同じ印象を与えてしまうので注意しなければなりません。
・「へりくだる」の例文
・『先方に失礼のないよう、へりくだった言い方をする』
・『お土産を渡すときに、つまらない物ですが、と一言を添えるのは日本人特有のへりくだった挨拶だ』
「謙虚」とは?
「謙虚」【けんきょ】とは、うぬぼれることなく慎み深い態度をとることです。
漢字の「謙」は礼儀正しくすること、相手よりも一歩下がることを意味しています。
「虚」はうぬぼれず素直な心を持つことを表しています。
この2つの漢字を組み合わせた「謙虚」は、素直で礼儀正しく慎み深い様子を指す言葉となっています。
「謙虚」は主に、態度や人柄を言い表すときに用いられる言葉です。
思い上がったりでしゃばったりせず、おだやかで控えめな態度をとる様子を指します。
「謙虚」はほめ言葉なので、ネガティブな使い方がされることはありません。
類語には「腰が低い」や「敬虔」【けいけん】などがあります。
「謙虚」とは態度を慎む様子が共通していますが「腰が低い」は出しゃばらず愛想がよいこと、「敬虔」は慎み深く神仏を崇拝することを表すところが少し異なっています。
「謙虚」の例文
・『謙虚な人は周りから慕われやすい』
・『何事にも謙虚な姿勢で取り組むことが大切だ』
「へりくだる」と「謙虚」の違い
「へりくだる」と「謙虚」の違いを、分かりやすく解説します。
「へりくだる」は、相手を敬って慎んだ言動をすることです。
「謙虚」はうぬぼれることなく慎み深い態度をとることです。
どちらも一歩下がって慎んだ態度をとるところは同じです。
ただし「へりくだる」は目上の人とコミュニケーションをとる時など特定の場面で選択される言動であり、対して人柄や態度を表す「謙虚」は場面にあまり関係なくみられる言動であるところが違っています。
まとめ
「へりくだる」と「謙虚」は、日本人特有の相手より一歩下がる美徳を表した言葉となっています。
出しゃばり過ぎても嫌われる日本では、特に好まれる態度でしょう。
両者のニュアンスは似ていますが、意味と使い方は少し違うので、正しく使い分けをすることが大切です。