この記事では、「いらち」と「せっかち」の違いを分かりやすく説明していきます。
「いらち」とは?
「いらち」とは、短期でイライラしやすい、せかせかした気質のことです。
これは、関西地方を中心に方言として使われている言葉で「せっかち」という意味を持っています。
辞書にも載っていますが、他の地方ではあまり使われない言葉です。
「いらち」は、古くから使われている言葉で、動詞の「苛つ」【いらつ】が名詞に変わったものとされます。
「いらつ」は、いらいらして気持ちが落ち着かない態度を表しますが、大阪に住む人の県民性として「せっかち」で気の短い傾向がみられることから「いらち」が使われるようになったと考えられています。
また、大阪の県民性が「せっかち」とされるのは、早くから商人の町として栄え、商人の間で時間を大切にする感覚がはぐくまれたから、ともいわれています。
「いらち」は一般に「せっかち」で気が短い気質を指し、待つことが嫌い、慌てやすい、どこか落ち着きがない、といった印象を持たれるところが特徴的です。
「いらち」の例文
・『山田家は家族そろっていらちだな』
・『あんた、いらちやな、もうちょっと落ち着いたら?』
「せっかち」とは?
「せっかち」とは、落ち着きがなく先を急ぐ気質のことです。
元の言葉は「急き勝ち」【せきがち】であり、「せきがち」の音が変化して「せっかち」と言うようになったとされます。
「急く」とは、先を急ごうとして焦ること、気持ちが早まることです。
「勝ち」は動詞などの後に付く接尾語で、前に付く動詞の「傾向が強い」という意味を表しています。
「急き勝ち」に使われる漢字の意味を見ると、「せっかち」が先を急ごうとする傾向のある、落ち着きのない性格を示していることがうかがえます。
「せっかち」な人は、気が短く、ゆっくり行動したり長く待ったりするのが苦手、また我慢するのが苦手でイライラしやすい、などの傾向を持つところが特徴です。
類語には「性急」【せいきゅう】、「せわしない」などがあります。
「性急」は気が短いこと、「せわしない」は落ち着きがないことを表しており、それぞれが「せっかち」と同じ意味を持っています。
「せっかち」の例文
・『私はせっかちな性格で食べるのも早く、友達がゆっくりご飯を食べているのを見るとイライラしてしまう』
・『彼はせっかちで、じっと待つことが苦手だ』
「いらち」と「せっかち」の違い
「いらち」と「せっかち」の違いを、分かりやすく解説します。
「いらち」は短気でせかせかした気質のことで、関西地方の方言で「せっかち」を意味します。
「せっかち」は落ち着きがなく、先を急ぐ性格です。
つまり「せっかち」は標準語、「いらち」は「せっかち」の関西弁、ということになるわけですが、厳密には「いらち」と「せっかち」の間で微妙なニュアンスの違いがあります。
「いらち」は、気が短くイライラしやすい、どことなくせかせかした感じが漂っており、「せっかち」の性急でのんびりしたことが嫌いな性格とはまた少し違った印象を与えます。
まとめ
「いらち」と「せっかち」はほぼ同じ意味を表していますが、「いらち」は大阪特有の気質とされ、違ったニュアンスを含みます。
「いらち」が全国に共通する言葉ではないため、他の地方にお住いの方はあまり目にしないかもしれません。
「いらち」の意味を知っておけば、話題に出てきたときに戸惑わずに済むでしょう。