「左遷」と「降格」の違いとは?分かりやすく解釈

「左遷」と「降格」の違いとは?ビジネス・就職・転職

人事用語として耳にする機会の多い「左遷」「降格」はどちらもネガティブな意味合いで使われる言葉です。

失敗の責任をとって、というようなケースで登場しますがこの2つの言葉は似ているようで全く違う意味を持つ別物です。

今回は、「左遷」「降格」の違いについて解説します。

「左遷」とは?

「左遷」とは?

「左遷」とは「現在よりも低い役職や地位に配置転換される」という意味を持ちます。

「左遷」は古来中国で使われていた古い表現です。

古代中国では右が上位、左が下位とされてきました。

「右に出るものがいない」という表現でもわかるように優れたものほど右に位置し左に行くほど地位が低くなるという考え方は当時の一般常識でした。

「左遷」「遷」には「場所を移る、他へ行く」という意味があります。

移り変わりのことを「変遷」といいますが左遷の「左遷」にも同じ意味があります。

「左遷」とは「左へ移る」つまり古代中国の考えに従うと「(現在の立場や身分よりも)下位に移動する」という意味になります。

現在の使われ方としては「遷」という字の元々の意味が強調された「場所の移動を伴う格下げ」という意味合いを持つ表現として使われています。

重要な仕事や中枢から遠ざけられることを「左遷」と表現することもあります。

権力争いに負けた人物が肩書や給与はそのままに権力から遠ざける目的で地方に飛ばされるようなケースは「左遷」に該当します。

「左遷」の使い方

・不祥事を起こしたら左遷されるのは当然だ。

・優秀な人材がこんな僻地に来る理由なんて左遷くらいしか思いつかない。

・支店長就任といえば聞こえはいいが実質的には左遷である。

・派閥争いに負けたせいで左遷される。

「降格」とは?

「降格」とは?

「降格」とは「役職や階級を現在よりも引き下げること」を指します。

現在よりも肩書が下がるだけでなく給与などの待遇も下がることから一般的に処罰や処分の手段として実施されます。

「降格」は人事の一種ではありますが対象者にとって大きな不利益が生じることからみだりに行われるものではありません。

人事異動として降格が実施する会社もまれにありますが例外的なものであり通常は失敗の責任を取るなど明確な理由がある場合においてのみ処罰や処分の手段として行われます。

「降格」の使い方

・軍規違反により1階級降格とする。

・失敗の責任をとって降格処分を受け入れる。

・見せしめのような降格人事は士気を下げてしまい逆効果だ。

・部長から平社員への降格などありえない。

「左遷」と「降格」の違い

「左遷」と「降格」の違い

「左遷」「降格」はどちらも「現在の立場や役職が引き下げられる」という点は共通しています。

違いとしては現在手がけている仕事や所属についての扱いです。

「左遷」が用いられるのは一般的に立場や役職の引き下げと同時に今の仕事や職場から離れるケースです。

プロジェクトから外される、支店へ移動になるといったように現在の業務から離れるのが「左遷」であり同じ仕事を引き続き手がけることはありません。

「降格」は役職や階級そのものが下がることを指しているため具体的な職責や仕事内容の変更がなくても成立します。

役職が下がりながらも以前からの業務に引き続き従事し続ける場合は「降格」が適当な表現です。

まとめ

まとめ

「左遷」「降格」は似たような意味を持つため混同されがちですが本来の意味は全く異なります。

デリケートな意味合いを持つ言葉なので間違いのないよう正確に使い分けてください。