この記事では、「回顧」と「懐古」の違いを分かりやすく説明していきます。
「回顧」とは?
過ぎ去ったことを思い起こす、後ろを振り返る、といった意味がある「回顧」。
「回顧」の場合、過去に何があったのか、どのようなことが起きたのか、などを思い返す行為を意味し、そこに思い出している人の感情は含まれません。
感情に流されず、客観的に過去を思い出す行為が「回顧」となります。
このような意味から「回顧」は、「追憶」や「思い出す」、「振り返る」、「思い返す」、「プレイバック」などと言い換えることができます。
「回顧」の使い方
「回顧」は、「回顧する」が基本的な使い方となり、「回顧」を用いた言葉には、「回顧展」や「回顧録」、「回顧談」、「回顧的調査」などといった言葉があります。
「懐古」とは?
昔のことを懐かしく思うことを「懐古」と言います。
「昔、こんなことがあったな」と思い返し、懐かしい気持ちになることが「懐古」となるため、基本的に実際に自分が経験したもの携わってきたもののみに「懐古」することができます。
このような意味から「懐古」は、「もの懐かしい」や「ノスタルジア」、「懐かしむ」などと言い換えることができます。
「懐古」の使い方
「懐古」は、「懐古する」、「懐古に浸る」といった使い方が行われます。
そのほか、「懐古の念」や「懐古の情」、「懐古的」、「懐古趣味的」などといった言葉もあります。
「回顧」と「懐古」の違い
「回顧」と「懐古」には、過去を振り返る、思い出す、といった意味では同じですが、そこに感情が含まれるか、含まれないか、といった違いがあります。
「回顧」の場合、感情は含まれず、単に過去を振り返る行為を意味しますが、「懐古」の場合は、過去を振り返り、そして、懐かしむ感情が含まれます。
このように、懐かしいといった感情など関係なく振り返り行為が「回顧」。
懐かしいといった気持ちで振り返り行為が「懐古」となります。
「回顧」の例文
・『地元で大好きだった画家の回顧展が開催されることになりました。』
・『入社し5年が経ち、新入社員の頃を少し回顧することにしました。』
・『歴史上の人物の回顧録を読むと、当時の色々なことがわかります。』
・『子供の頃を過ごした昭和の時代を少し回顧しました。』
「懐古」の例文
・『妻と出会った頃の音楽を聞き、当時の出来事を懐古する。』
・『久しぶりに学生時代の友達と会ったことがきっかけとなり、懐古の情に浸っているところです。』
・『懐古主義の祖父は、よく、私たちに祖父が子供のことの話をしてくれました。』
・『年のせいなのか、最近は自分が子供の頃や学生時代の頃を懐古するようになりました。』
まとめ
同じ「かいこ」と読み、過去を振り返るといった共通の意味を持つ言葉だけに、間違われやすい言葉となりますが、明確な使い分けが存在します。
そのポイントは、感情の有無です。
その感情の有無に応じた使い分けが必要です。