人間の感情を意味する「非情」と「無情」。
この記事では、「非情」と「無情」の違いを分かりやすく説明していきます。
「非情」とは?
情を非という言葉で打ち消している「非情」。
この言葉には、人間らしい感情を持たないといった意味があります。
また、感情に左右されることもない状態も「非情」と言い、どれだけ、情に関して人間らしくないかということがわかる言葉です。
この「非情」は、喜怒哀楽が全くない状態を表し、怒っているのか悲しんでいるのか、喜んでいるのか、などといった感情を持ちません。
そのような感情にとらわれることなく過ごすことが「非情」で、「冷徹」や「血も涙もない」、「悪の塊」などと同じ意味となります。
また、感情に左右されないということは、「無愛想」や「つっけんどん」などと同じ意味となります。
対義語においては、「有情」です。
「非情」の使い方
「非情」は、何がどのように「非情」なのかを表す使い方が多くなります。
現実から目をそむけたくなるようなことを「非情な現実」と言い、このように、あまり良い意味で用いられることはありません。
「無情」とは?
情が無いと書く「無情」には、いつくしむ心がない、思いやりがない、といった意味があります。
「無情」には、相手に対する情けや思いやりなどは一切ありません。
優しさのかけらもないようなことが「無情」なのです。
このような意味から「無情」は、「冷酷無惨」や「不人情」、「冷酷」、「残酷」、「無慈悲」、「無愛想」などと言い換えることができます。
また、対義語は「有情」です。
「無情」の使い方
「無情」は、何がどのように「無情」なのかを表す使い方が多くなります。
情けなく振り出す雨を「無情の雨」といったり、相手のことを思ってこその行為に対しては、「無情だと思われても」などといった形で用いられます。
「非情」と「無情」の違い
「非情」は、人間らしい感情を持ちません。
「無情」は、思いやりやいつくしむ心を持ちません。
「非情」は感情にとらわれることなく、いたって冷静。
自分自身の感情に左右されることなく行動することを意味します。
どちらも、情け容赦ない行動を意味する言葉ですが、微妙に異なった意味を持つ言葉となります。
簡単に言えば、「非情」は、感情を見せない行為で、「無情」は、感情を持たない行為となります。
「非情」の例文
・『彼のやり方は、なんて非情なんだ。私は、彼のやり方を許すことはできません。』
・『我が家には、父が勝手に決めた非情な掟が存在します。』
・『姑は、私に非情な仕打ちをしてきたので、思い切って離婚することに決めました。』
・『必ずしも非情なやり方が駄目だということはありません。場合によっては、必要な時もあります。』
「無情」の例文
・『無情にも目の前で、バスが発車してしまいました。』
・『ドラマの演出で欠かせないのが無情にも振り出す雨です。』
・『生徒に無情だと思われていても、私からすれば、これらすべて子供たちのために行っていることに違いはありません。』
・『彼と別れた日から無情にも時が流れ、彼のことを思い出すことも少なくなってきました。』
まとめ
どちらも、感情に対する言葉ですが、その中身に微妙な違いがあるものとなります。