方言というのは面白いもので、例えば「関西弁」と言っても種類がたくさんあり、大阪、京都、神戸で微妙に違っていて、他の地方の人からすると違いがよくわからないというのはよくある話です。
例えば、標準語の「待つ」という言葉の否定形は標準語では「待たない」、大阪では「待てへん」で、京都では「待たへん」です。
さらに不可能の形は標準語では「待てない」ですが、大阪では「待たれへん」で、京都では「待てへん」になるそうです。
また、標準語の「足りる」の否定形はどうなるのでしょうか。
もっと根本的な話として「足らない」と「足りない」はどう違うのでしょうか。
この記事では、「足らない」と「足りない」の違いを分かりやすく説明していきます。
「足らない」とは?
「足らない」とは、「充足する」という意味の「足る」が活用した否定形なので、「充足しない」ということを表します。
「足る」という言葉は、江戸時代までは多く使われていた言葉で、現代においては方言以外では使われる事がないのですが、否定形の「足らない」は標準語において今でも使われています。
古い言い方をベースにしていますが間違いであるとは言えません。
「足りない」とは?
「足りない」とは、「充足する」という意味の「足りる」の否定形なので、やはり「充足しない」ということを表します。
最も標準的な言い方なので、広い範囲で使用する事ができます。
「足りない」対象ですが、長さ、量、大きさのどんなものにでも使用することができます。
「足らない」も「足りない」も英語では「not enough」で表現できます。
「足らない」と「足りない」の違い
「足らない」と「足りない」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は「充足する」という意味の言葉の否定形であることは同じで、実質的には違う部分は無いと言っても良いでしょう。
すなわち、どちらを使用しても間違いではないということです。
ただ、一般的には「足りない」が標準的な言い方であり、「足らない」の方は前述のように若干古い言い方であること、さらに後ろにつける言葉によっては「足らません」のように使えない場合もあります。
また、「足らない」は関西で話されている方言の一つと言うこともできます。
「足らない」の例文
「足らない」の例文は以下のようになります。
・『髪の毛の太さは、一般的には0. 1mmにも足りません』
・『小銭を出そうとしましたが、1円玉の数が足りなくて諦めました』
「足りない」の例文
「足りない」の例文は以下のようになります。
・『髪の毛の太さは、一般的には0. 1mmにも足らないのが事実です』
・『小銭を出そうとしましたが、1円玉の数が足らなくて諦めました』
まとめ
この記事では、「足らない」と「足りない」の違いを、解説してきました。
序文の続きですが、「足りる」の否定形は標準語では一応「足りない」で、大阪では「足りへん(あるいは足りひん)」、京都では「足らへん」となります。
ここまで説明してきたように、「足らない」が江戸時代より前に多く使われていたことを考えると、長い歴史を持つ京都で古い言い方が今でも使われているのは繋がっているとも言えます。