この記事では、「異常気象」と「気候変動」の違いを分かりやすく説明していきます。
天気予報やニュースなどで、よく耳にする、似たような意味で使われる言葉ですが、厳密にはこの2つは大きく異なる意味を持ちますので、この記事を参考にしていただければ幸いです。
「異常気象」とは?
異常気象とは、平均から大きく偏った「気象」のことを指します。
まず、「気象」とは、大気中に発生する様々な「自然現象」のことを指しており、「異常気象」については、日本の気象庁が定めた定義で「気温、降水量などの気象要素が過去30年以上にわたって観測されなかったほど著しく高いか、あるいは低い値を示す場合」もしくは「30年に1回以下の出現確率の現象」とされています。
なお、一般には、「過去に経験した気象から大きく外れた気象」という意味を指しており、暴風や大雨等の数時間の激しい気象から、極端な冷夏や暖冬、何か月も続く干ばつまで含みます。
また、洪水や地滑りなど気象災害も異常気象に含む場合もあります。
平均的な気象の目安として「平年値」が存在しており、観測上できる気象の値を過去30年分平均し、「平年値」として10年ごとに更新されます。
つまり2020年までは1981~2010年の観測による「平年値」を使用していますが、2021年からは、1991~2020年の観測値による「平年値」に変わっています。
そのため、異常気象という捉え方も10年ごとに変化し、現在、異常気象として考えられている気象が将来的に通常の気象となる可能性や逆に現在は通常と考えられている気象が異常気象と認識される可能性もあります。
「気候変動」とは?
「気候変動」とは、「長期的」な視点で観測した「気候」の変動や変化のことを指します。
まず、「気候」とは数年~数十年という「長期的」な大気の「平均状態」を指しており、「気候変動」とは「気候」の移り変わりを指す言葉です。
「気候変動」の要因には、「外部要因」と「内部要因」の二つが存在し、さらに「外部要因」については、「自然的要因」と「人為的要因」の2つに分けられます。
例えば、「自然的要因」は太陽や月など地球周辺の天体による変動や火山の噴火による火山灰などの微粒物の増加などがあります。
一方、「人為的要因」は人間の活動に伴う地下資源の採掘や地形変更、様々な燃料の燃焼による温室効果ガスの増加などが挙げられます。
とりわけ化石燃料の大量消費による大気中の二酸化炭素濃度増加が、地球全体の気温が上昇している「地球温暖化」の原因となっているのではないかと言われております。
「地球温暖化」は氷河や氷床の融解により海面が上昇し陸地が減少する、気温や海水温が上昇することで動植物が減少し食料難が発生する、などの問題発生が予測されていることから、近年、世界中で関心が高まっています。
「異常気象」と「気候変動」の違い
まず、「異常気象」は大気中の「自然現象」である「気象」が平均から大きく偏った状態であることを指し、数分~数か月程度の「短期的」な出来事です。
一方、「気候変動」は大気の「平均状態」である「気候」の移り変わりを指しており、数年~数十年という「長期的」な出来事です。
まとめ
「異常気象」と「気候変動」についてまとめると以下となります。
・「異常気象」は数分~数か月程度の「短期的」な期間に起きるもので、平均的な「気象」から大きく偏った大気中の「自然現象」です。
・「気候変動」は数年~数十年という「長期的」な期間に起きるもので、大気の「平均状態」である「気候」の移り変わりのことです。