「一夜干し」と「天日干し」は、魚介を乾燥させて作る干物の一種です。
さて、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、「一夜干し」と「天日干し」の違いを分かりやすく説明していきます。
「一夜干し」とは?
「一夜干し」という名前は、一晩かけて干したものと解釈できます。
ただし、本当に夜の間だけ干したのかというと、そうではありません。
日中に太陽の光が当たらない日陰で干したものも「一夜干し」の中に含まれるからです。
つまり、一夜干しとは少しの間だけ干したものの名称です。
「一夜干し」の特徴は、風通しの良いところで低温のまま乾燥させる点にあり、水分が程よく残るために食感が柔らかく、焼くとふっくらとした美味しさが味わえます。
また、水分が抜けているため、旨味が凝縮することで生魚とは違う風味が魅力です。
太陽光の加減に左右されることがないので、味わいにムラが生じません。
魚は内臓などを取り除いて、開いた状態で干すのが一般的です。
「天日干し」とは?
太陽の光と風を利用して作る干物です。
水分が抜けるために、弾力のある歯ごたえが楽しめます。
また、「天日干し」は太陽の光を浴びるのでカルシウムは生の状態と比べて約2?3倍となり、ビタミンD、鉄、カリウムのミネラル成分も大幅に増えます。
栄養摂取の面では、生の魚よりずっと効率が良い点が明らかなのです。
ただし、「天日干し」には大きく分けて2種類あります。
ひとつは太陽光を利用したもの。
もうひとつは、大量生産するために工場で人工的に乾燥させものです。
太陽の光で乾燥させたもののほうが良いのは確かですが、日照不足の場合には質の良い「天日干し」を作ることが叶いません。
そのため、安定した出荷量と気軽に楽しめる価格で供給できるわけですから、人工乾燥品も人気があります。
「天日干し」も「一夜干し」と同じように開くタイプが主流ですが、開かないまま乾燥させる丸干しタイプがあります。
スーパーなどは、イワシなどの小さな魚は丸干しがほとんどです。
「一夜干し」と「天日干し」の違い
「一夜干し」と「天日干し」の違いを、分かりやすく解説します。
違いは製造方法にあります。
「一夜干し」は日に当てず、風通しの良いところで乾燥させます。
一方の「天日干し」は太陽の光を利用します。
「一夜干し」の美味しさは身の柔らかさにあり、「天日干し」の美味しさは歯ごたえと栄養価の高さにあります。
まとめ
干物は保存しやすくするために生まれた加工方法です。
塩漬けにすれば日持ちはしますが、魚介の場合は風味が格段に落ちてしまいます。
風味を殺さずに日持ちを良くすることができ、さらに栄養価を高めるわけですから、昔の人の知恵は本当に素晴らしいの一言に尽きます。
また、この保存方法は日本だけでなく海外でも古くから行われてきた優れた手法です。
トーストにコーヒーも悪くありませんが、ときには時間と手間を掛けて「一夜干し」や「天日干し」を焼き、炊き立てのご飯と一緒に食べてみてはいかがでしょうか。