この記事では、「居合道」と「剣術」の違いを分かりやすく説明していきます。
「居合道」とは?
「居合道」とは臨戦状態ではない時に襲われた場合にどう戦うかという技術に重きを置いた武道です。
居という言葉は座っている状態を指しているので、座った状態から始める技や流派も多くあります。
古武術としての居合とは違い現代武道であり、競技化したスポーツに近い武道です。
人と向き合って練習するのではなく、誰もいない空間へと、決められた形の通りに動くことで技法を学びます。
開始時の姿勢の違いなどはありますが、鞘から刀剣を抜き放ち、空間を切るように刀剣を振るい、その後鞘に納めるというのが形稽古の基本的な流れです。
試合に関しても、相手と戦いどちらが相手を打ち負かすかではなく、お互いが各流派の演武を行い、どちらがより正確に演武ができていたかで審判の多数決、あるいは点数制で勝敗を決めるというものになります。
「剣術」とは?
「剣術」とは文字通り刀剣を用いて戦う技術のことで、特に日本で発達した刀剣を用いた武術です。
武道ではなく古武術にあたり、ただ刀剣の振るい方だけを取り扱うだけでなく、刀剣を用いて戦うにあたり必要な身のこなしの習熟も「剣術」に含まれます。
「剣術」には何に重きを置いているか、どのような刀剣を使うか、使う刀は1本か2本か、どういった状態を想定しているかなどで無数の流派があり、枚挙に暇がありません。
有名な流派だけでも片手に余る数があり、それらの流派を学んだ人が別の流派を立ち上げることも少なからずあったので、現代に残っているものだけでも、数え切れないほどの流派があります。
こう言った「剣術」にルールを設定し、スポーツとして競技化したものが、現代武道としての剣道です。
「居合道」と「剣術」の違い
「居合道」と「剣術」の違いを、分かりやすく解説します。
日本における刀剣を使った戦い方やその技術の総称が「剣術」で、数多の「剣術」が生まれる中で座った状態、気を抜いた状態から咄嗟に臨戦態勢に入り戦うことに重きを置いた居合術が生まれました。
その居合術の術理や作法を学ぶことや、それを通して精神を鍛えるなどのために現代武道化したものが「居合道」です。
「剣術」では鍛錬のために同じ流派の相手と竹刀や木刀を持ち向かい合って技術を磨く事が多いですが、「居合道」は誰とも向き合わずに模擬刀で形の稽古する方法が基本になります。
また「剣術」の試合や鍛錬は基本的に刀剣を抜いた臨戦態勢から始まりますが、「居合道」では刀剣を鞘に納めた状態から始まるのも大きな違いです。
まとめ
「剣術」が剣道として現代武道化したように、「剣術」の中でも特徴的なものの一つである居合術が現代武道化したものが「居合道」です。
一般的な「剣術」と居合術にはかなり大きな差があった上に、「居合道」はそれをさらに現代武道化したものなので、「剣術」と「居合道」には非常に多くの違いがあります。