「剣道」と「剣術」はどちらも「剣」に関係する言葉ですが、詳細な意味が異なるため使い分けが必要です。
この記事では、「剣道」と「剣術」の違いを分かりやすく説明していきます。
「剣道」とは?
「剣道」は「剣術をルーツとする武道またはスポーツ競技」を意味し、江戸時代中期頃の剣術の普及に伴って剣道具が作成されたことがきっかけで発展したと伝えられています。
「剣道」では、二人の競技者が面、胴、籠手、胴、垂といった防具を身に着け、相手の身体の決められた箇所を竹刀で打つか叩くかして勝敗を争います。
「剣術」とは?
「剣術」は「刀剣を用いて戦う武術」のことで、柔術や居合術、抜刀術や槍術をはじめとする日本の古武道の一種として知られています。
もともとは護身術として誕生しましたが、戦国時代頃から江戸時代頃に数多くの流派が派生し普及します。
維新後の廃刀令や時代の流れなどに影響され、現在は残った流派によって技術や伝統が継承されています。
「剣道」と「剣術」の違い
「剣道」と「剣術」の大きな違いは、それぞれの定義や対戦方法などにあります。
「剣道」は「武道もしくはスポーツ」と定義され、専用の防具を身に着けて竹刀で対戦相手の面、胴、小手、突(喉)のみを攻撃することが可能です。
一方、「剣術」は「武術」もしくは「戦闘技術」に分類され、「日本刀で人を斬る技術」であることから対戦相手のどの部位を攻撃しても差し支えないとされています。
なお、「剣道」の基礎は「剣術」の各流派の手法を統合して誕生したため現在の「剣道」に流派はありませんが、「剣術」の場合は今もなお数多くの流派が存在します。
次に、「剣道」と「剣術」の違いを分かりやすく解説します。
「剣道」の例文
「剣道」は「剣術を起源とする武道あるいはスポーツ」を指すと共に、「武士道精神」や「人間性の構築」を重要視しているのが特徴です。
現在では、剣道教室や学校の体育授業を通して幅広い年代に親しまれています。
・『友人が剣道の全国大会で上位に入った』
・『剣道は海外でも人気が高く、1970年からは3年おきに世界選手権大会が開催されている』
・『父は剣道の昇段試験を受けるため道場で猛特訓している』
・『剣道に用いる竹刀には、一般型、胴張り型、古刀型の3つのジャンルがある』
「剣術」の例文
「剣術」は「日本刀を使用する武術」を意味し、どちらかというと「人を斬る戦闘技術」と捉えられています。
現在でも北辰一刀流や天然理心流をはじめとした流派が存在します。
・『剣術の流派のひとつである天然理心流は、新選組の近藤勇や沖田総司などによって使用されていた』
・『るろうに剣心に登場する飛天御剣流は、薩摩の剣術を参考にしたといわれている』
・『剣術が普及していた江戸時代後半には700を超える流派が存在していたらしい』
・『剣術の技の中で特に好きなのは、佐々木小次郎が使った燕返しです』
まとめ
「剣道」と「剣術」は同じような意味を持つと思われがちですが、それぞれが誕生した経緯や対戦方法などを学ぶと似て非なるものだと分かります。
両者の正しい意味を知って、言葉や日本文化に対する知識を深めてください。