「手腕」と「腕前」の違いとは?分かりやすく解釈

「手腕」と「腕前」の違い言葉・カタカナ語・言語

人の能力を意味する言葉に「手腕」「腕前」がありますが、このふたつは具体的にどのような違いで使い分けられているのでしょうか。

今回は、「手腕」「腕前」の違いについて解説します。

「手腕」とは?

「手腕」とは?

「手腕」とは、「人を使って何かを成し遂げる能力」を意味する言葉です。

「手腕」は個人の能力や実力を表す言葉です。

一般的には「多くの人を動かして目的を達成する能力」を指す言葉として使われます。

一言で言い表すならば「手腕」とは「マネジメント力」という意味で使われています。

「頭脳を使って物事をうまく処理する能力」「手腕」であり個人で何かをするのではなく多くの人を巻き込んで物事を達成へと導く能力を指します。

会社経営や政治運営などいわゆる組織や団体を動かす能力を指しており、一人では到底成し遂げられないような物事を多くの人の協力を取り付けて無事に成功させることを「優れた手腕」と表現します。

「手腕」の使い方

・『外務大臣として手腕を発揮する』
・『経営不信の子会社を黒字転換させた手腕を買われて社長に抜擢される』
・『存分に手腕を発揮できる環境を用意して経営者を迎え入れる』
・『経営手腕が問題視された社長が更迭された』

「腕前」とは?

「腕前」とは?

「腕前」とは、「個人が身につけている技量」を意味する言葉です。

料理や大工仕事、剣術など「個人が身につけている技の程度」を指す言葉が「腕前」です。

一般的には「修行や修練で身につけられる技術のレベル」という意味で使われており、生まれ持った能力や才能などに対しては用いられません。

「腕前」が指すのは個別の技術の中でも身体的な能力です。

文字通り腕を使って実行される技術を指しているので頭脳労働的な技術に対しては通常使われません。

ただし、外部に出力可能で優劣が容易に判断できる技術については「腕前」という表現が使われます。

例えば、計算能力は頭脳的な技術ですが修練で身につけることができて容易に優劣が判別できるので「腕前」という表現が使えます。

思想や哲学などは学ぶことはできるものの技術そのものを具体的な形として披露することが難しく、直接的に優劣をつけることもできないので「腕前」という表現は使いません。

「腕前」の使い方

・『料理の腕前を披露する』
・『素晴らしい腕前の大工に依頼したので立派な家が完成した』
・『しばらくやっていなかったがまだまだ腕前は衰えていない』
・『自分の腕前で金を稼ぐのが職人というものだ』

「手腕」と「腕前」の違い

「手腕」と「腕前」の違い

「手腕」「腕前」の違いは「個人で完結しているか」です。

「手腕」は多くの人を動かして物事を成し遂げる能力を指します。

どんなに優れた実績をあげていても自分一人で物事を完結している場合は「手腕」という表現は使いません。

「腕前」は個人が身につけた技術を指します。

人の手を借りることなく個人で物事を完結できる能力に対してのみ用いられる表現です。

人を動かす能力が「手腕」、個人の能力が「腕前」という違いで使い分けられています。

まとめ

まとめ

「手腕」「腕前」はどちらも人の能力を意味する言葉ですが指している内容に大きな違いがあります。

どのような能力を表すのかをよく考えて正しい言葉を選んでください。