漢字から少し異なった意味で用いられることが想像できる「喪う」と「失う」ですが、明確な違いを知っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、「喪う」と「失う」の違いを分かりやすく説明していきます。
「喪う」とは?
「うしなう」と読む「喪う」には、「喪」という漢字が用いられています。
この「喪」には、人の死後、近親者が一定期間悲しみの意を表すものといった意味があります。
また、ほろびる、といった意味もあり、うしなうといった読み方でも、その中に含まれるものがどれだけ大きいものかということがわかります。
今まで通り保持することも維持することもできないことを意味し、それは、二度と戻ってこないことを意味する「喪う」。
大切な人が亡くなった時に主に用いられる言葉です。
「喪う」の使い方
基本的に人の死を表す「喪う」。
そのため、「祖父を喪う」、「父を喪う」といった形のみ用いられる言葉となります。
「失う」とは?
「失う」には、今まで持っていたものをなくすといった意味があります。
そのほか、普通の状態ではなくなることや取り逃す、得点を入れられる、消滅する、など、様々な意味を持ちます。
失ったものは、自分にとってかけがえのないもので、二度とそれが戻ることはありません。
「失う」の使い方
様々な場面で用いることができる「失う」。
「気を失う」や「チャンスを失う」、「友達を失う」、「仕事を失う」など、二度と戻って来ないことであれば、基本、どのようなことにも用いることが可能です。
「喪う」と「失う」の違い
「喪う」と「失う」は、二度と戻って来ないといった意味では同じです。
そのうえで、「喪う」は大切な人が亡くなった時のみ用いられる言葉で、使用範囲が限定された言葉となります。
それに対し、「失う」は、幅広く用いることができる言葉となります。
そのため、大切な人が亡くなった時にも「失う」を用いることは可能ですが、より適した言葉は「喪う」の方となります。
そのため、大切な人が亡くなった時は、「喪う」を用いることを意識する必要があります。
「喪う」の例文
・『大好きだった父を喪って、はや、3年が過ぎました』
・『大好きだった祖母を喪った私には、喪失感しか残っていません』
・『幼馴染をガンで喪い、そのことを受け止めることができない自分がいます』
・『大切な家族を喪った悲しみは、そう簡単に癒されることはありません』
「失う」の例文
・『些細な喧嘩がきっかけで、親友を失ってしまい後悔しています』
・『大きな仕事を取ることができるせっかくのチャンスを失ってしまいました』
・『リストラに遭い、この歳で仕事を失い困っています』
・『自転車でこけてしまった私は、一瞬、気を失っていました』
まとめ
以上が、「喪う」と「失う」の違いです。
「喪う」は、大切な人が亡くなった時限定と、少し特殊な言葉となります。
そのことをよく理解したうえで適切に「喪う」を用いる必要はあります。