同じ意味を持つように思える「正直」と「率直」ですが、この2つの言葉には異なった意味があります。
では、実際に「正直」と「率直」には、どのような違いがあるのか。
その点について詳しく説明していきます。
「正直」とは?
「正直」とは、嘘や偽りがないことを意味します。
曲がったところなどはなく、人をだますようなこともありません。
そのため、「正直」は、良い意味で用いることが多く、「律儀」や「真面目」、「誠実」、「堅気」、「真摯」などと言い換えることができます。
「正直」の使い方
「正直に話す」や「正直に伝える」、「正直に認める」などをはじめ、「正直者」や「馬鹿正直」などが主な使い方です。
「率直」とは?
ありのままのことを意味し、隠すところなどない状態を指す言葉が「率直」です。
ありのままということは、その人が感じたまま、思ったままのことを意味し、それに対し遠慮や忖度などはありません。
誰に対しても、思ったことをそのまま伝える行為が「率直」です。
そのため、遠慮がなさすぎる、自分勝手な意見ばかり言う、といった印象を相手に与えてしまうこともあります。
「率直」は、「単刀直入」や「ストレート」、「ダイレクト」、「一刀両断」などと言い換えることができます。
「率直」の使い方
「率直に話す」や「率直に言えば」などをはじめ、「率直な答え」や「率直な人柄」、「率直な意見」、などといった言葉もあります。
「正直」と「率直」の違い
「正直」は、?や偽りがないことを意味し、「率直」は、ありのままのことを意味し、隠すところなどない状態を意味します。
ここには大きな差があります。
「正直」は、?や偽りはないものの言ってはいけないと思ったことは言いません。
それに対し、「率直」は、隠すことなく相手にズバズバと話すため、時にはトラブルに発生してしまう恐れがあります。
そのため、「正直な意見」と「率直な意見」とでは、同じものに対する意見でも大きく変わってしまう可能性もあります。
「正直」の例文
・『正直者が馬鹿を見る世の中では、いけないと思います』
・『彼の良いところは、何でも正直に話すところです』
・『母は、怒らないので正直に言いなさいと僕に言ったにもかかわらず、正直に話したら怒られました』
・『彼の正直で真面目なところに魅かれ結婚しました』
「率直」の例文
・『率直な意見を言わせて頂くと、この商品の味はイマイチです』
・『社員の率直な意見を聞くため、匿名でアンケートに答えてもらうことにしました』
・『率直な意見が聞きたいと部長が言ったので、思ったままの意見を伝えたらムッとされてしまいました』
・『率直な人柄は、時には嫌われてしまうこともあります』
まとめ
?や偽りがないことを「正直」というのに対し、「率直」は、ありのままのことを意味し、隠すところなどない状態を指します。
そこに遠慮などありません。
この点がこの2つの言葉が持つ大きな違いです。