この記事では、「不時着」と「緊急着陸」の違いを分かりやすく説明していきます。
「不時着」とは?
「不時着」とは飛行機が航空中に、墜落の危機がある重大な技術的トラブルが発生したせいで着陸することです。
飛行機は本来着陸が許可される場所が限られますが、「不時着」の場合はどこに着陸するかは問われず、再度飛行するための滑走路がない場所に着陸することもできます。
無理に航空を続けて墜落したり、水に浮くよう作られていないのに着水を余儀なくされると、パイロットや乗組員、乗客たちに多数の死亡者が出てしまうからです。
そう言った最悪の事態にならないように、後の問題を考えず、今の死傷者を可能な限り減らすため、できるだけ人的物的被害が出ない場所に着陸することを「不時着」と呼びます。
ただし滑走路のない場所に着陸すると後々問題が起こるので、「不時着」は余程の重大なトラブルが発生した場合にしか行われません。
「緊急着陸」とは?
「緊急着陸」とは飛行機が航空中にトラブルが発生し、本来着陸する予定だった空港意外に着陸することです。
予定とは違う空港に着陸する予防着陸、滑走路のない場所であっても着陸する「不時着」、水上に「不時着」する不時着水の三種類に分類されます。
機体に技術的な問題が発生している、乗客に急患がいるなど、着陸を早める理由が何であっても、どこに着陸するにしても「緊急着陸」です。
どこに着陸してもとは言っても、陸地ではなく水上に着水することも「緊急着陸」なので、より正確に言えば予定より早く飛行を中断すること全てが「緊急着陸」と言えます。
「緊急着陸」は基本的に人命を守るために行われるものですが、「緊急着陸」自体が事故に繋がり死傷者を出す可能性があるので、文字通り緊急事態の時にしか行われません。
「不時着」と「緊急着陸」の違い
「不時着」と「緊急着陸」の違いを、分かりやすく解説します。
「不時着」は重大な技術的トラブルが原因で滑走路がない場所に着陸することで、「緊急着陸」は何らかのトラブルが原因で予定より早く飛行を中断することです。
「緊急着陸」には三種類の分類があり、その中で技術的トラブルと滑走路がない場所という二つの条件を満たしたものが「不時着」になります。
「不時着」は墜落の危険に繋がりかねない技術的トラブルでしか認められませんが、「緊急着陸」は機体が墜落して乗っている人間が全滅する可能性がないケースでも可能です。
また「不時着」で着陸する場所は滑走路のない陸地だけですが、「緊急着陸」は滑走路のない陸地以外にも予定とは違う空港や水上など、場所も限定されません。
まとめ
航空事故は一度起きると多数の死傷者が出る可能性が高いものなので、パイロットも乗客の命を守るために様々なトラブルへの対処法を用意していて、「緊急着陸」もその一つです。
「不時着」は「緊急着陸」の中でも、特に墜落の危険が高く切羽詰まって、なりふりに構う余裕がない時にだけ許されるものだと考えましょう。