「物的証拠」と「状況証拠」の違いとは?分かりやすく解釈

「物的証拠」と「状況証拠」の違い専門用語・業界用語

法廷物のドラマを見ていると「物的証拠」「状況証拠」という言葉が登場します。

同じ証拠でありながらどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「物的証拠」「状況証拠」の違いについて解説します。

「物的証拠」とは?

「物的証拠」とは?

「物的証拠」とは、「事実を証明しうる物品がある証拠」を意味します。

凶器や文書など「物品によって事実が証明される証拠」のことを「物的証拠」といいます。

一般的には証拠となる物品そのものを指します。

裁判において証拠能力が認められるものはいくつかありますが、人の証言や鑑定など人によって証明される証拠のことを「人的証拠」といいます。

証拠のうち「人的証拠」以外の物品によって示されるものが「物的証拠」となります。

「物的証拠」は客観的な調査や証明が可能で内容が変化いないという特徴があります。

人の証言などは記憶があいまいだったり解釈が分かれたりなど内容が変化する可能性が否定できません。

「物的証拠」は意図的な捏造でない限り内容が変化しないことから動かしがたい事実を証明する強い証拠能力が認められています。

「物的証拠」の使い方

・『有力な証拠として物的証拠を提出する』
・『物的証拠がないと裁判は相当苦しくなる』
・『警察の操作によって物的証拠が発見された』
・『物的証拠により犯人であることが証明された』

「状況証拠」とは?

「状況証拠」とは?

「状況証拠」とは、「状況によって合理的に導き出される結論によって事実を証明する証拠」を意味します。

事実を直接的に証明するのではなく「合理的な結論によってそうであるとしか考えられない状況を提示することにより事実を証明する間接的な証拠」「状況証拠」です。

例えば「その時間現場に入れたのはスペアキーを持っていた大家しかしない」というような「合理的に考えてその行為を実行できるものが他にいない」という事実を提示して推理の論拠にすることを「状況証拠」といいます。

「状況証拠」は推論によって導き出される証拠なので論理の組み立てを誤ると証拠が歪んでしまうという欠点があります。

複数の事実や証拠を組み合わせて論理を重ねていくことで信頼性は上がりますが、少ない証言や僅かな事実のみで「状況証拠」にしようとすると歪みが生じる可能性が高まります。

「状況証拠」の使い方

・『裁判は情況証拠頼みになった』
・『状況証拠の信頼性が争点になったが、無事に無罪を勝ち取った』
・『状況証拠だけで犯人と決め付けるのはよくない』
・『後半を維持するには状況証拠だけでは不十分である』

「物的証拠」と「状況証拠」の違い

「物的証拠」と「状況証拠」の違い

「物的証拠」「状況証拠」の違いは「物品の存在」です。

「物的証拠」は証拠となる物品が存在する証拠のことです。

凶器や文書など第三者から見て客観的に判断できる物品が存在することから高い証拠能力が認められています。

「状況証拠」は証言や事実を積み重ねて汲み上げられる形のない証拠です。

合理性は認められるもののゆるぎない事実を証明するものではないことから証拠能力が認められず採用されないこともあります。

まとめ

まとめ

「物的証拠」「状況証拠」は事件捜査や裁判で必ず登場する言葉です。

2つの言葉の意味の違いが裁判の行方にも大きく関わるので正しく理解してください。