この記事では、「核分裂」と「核融合」の違いを分かりやすく説明していきます。
原子力にまつわる科学用語を、おさらいしていきましょう。
「核分裂」とは?
核分裂(かくぶんれつ)とは、原子核が分裂すること。
1つの原子核が、2つや3つ、それ以上に分かれていく現象をあらわしています。
原子核には中間子、中性子、陽子などいくつかの物質によって成り立っています。
このうち中性子の数が増えると、原子核はこれまでの体質を維持できなくなって分解を始めるようになります。
この動きのことを「核分裂」といいます。
核分裂が起こると、非常に大きな電気のパワーが生まれます。
この働きを応用したものが「原子力発電所」です。
日本にはいくつかの原子力発電所があり、全国各地の電気をまかなっています。
核分裂によって作られた電気は「CO2の排出量が少ない・安定した生産ができる」などのメリットがあります。
「核融合」とは?
核融合(かくゆうごう)とは、原子核と原子核が結びついて、さらに大きな原子核になること。
重みのある、強い原子核が生まれることを指しています。
核融合しているもので、身近にあるものは「太陽」です。
太陽は高い温度で燃えながら、大きなエネルギーを生み出しています。
その燃える源になっているのは「水素」という物質です。
水素が燃えるとヘリウムになりますが、このとき高いエネルギーを発します。
太陽のほかにも、この作用を利用して輝いている星のことを「恒星」と呼んでいます。
恒星や太陽が生み出す、自然の化学反応が「核融合」です。
世界の研究機関ではこの作用を利用して新しい電気をつくれないか、日夜研究がすすめられています。
次世代型の電力システムと期待されているのが「核融合」です。
「核分裂」と「核融合」の違い
どちらも「核」にまつわる反応です。
「核分裂」と「核融合」の違いを、分かりやすく解説します。
・すでにあるのが「核分裂」まだないのが「核融合」
世界の原子力発電所で利用されているのは、ウランを使った「核分裂」の反応です。
現在もっともメジャーな発電方法のひとつになっています。
一方でまだ研究段階なものが「核融合」です。
今のところ「核融合」を使った発電施設は作られていません。
「核融合」ができるようになると、海の水からエネルギーが取り出すことが可能になります。
そのため核融合はエコなエネルギーだと期待されているのです。
地球温暖化をくいとめる手段のため、21世紀の後半までには実用化が急がれています。
すでにあるのが「核分裂」、未来に向けて急ピッチで研究が進められているのが「核融合」です。
まとめ
「核分裂」と「核融合」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも核にまつわる用語です。
「核分裂」とは、原子力発電所で用いられている科学反応のこと。
原子核を増やし、電気を生み出す方法です。
そして「核融合」は未来の新エネルギーとして、期待されている科学反応のこと。
より質のいい原子を生み出す、画期的な方法です。