例えば、コインロッカーにバッグを預ける、銀行にお金を預けるなどということは日常的に行われていますが、法律的にはこのようなことを「寄託」と呼びます。
民法の用語なので、詳細はかなり面倒な内容になります。
他にも「預託」という言葉もあり、これは、ゴルフ場の会員になるときや、アパートの賃貸契約のときに預けておいて後で返却してもらうものです。
それではこれらはどういう意味で使われているのでしょうか。
また、違いはどこにあるのでしょうか。
特に金銭「寄託」と「預託」の違いを分かりやすく説明していきます。
「寄託」とは?
「寄託」とは、民法や商法上で定義された用語で、「何かを誰かに預けること」を言います。
一般生活ではほとんど使用することがない言葉ですが、大変重要な用語です。
例えば、銀行にお金を預けた時点で法律的には銀行と自分の間に「消費寄託契約」が結ばれています。
これは預かった側がそれを自由に使ってよいという契約で、それに基づいて銀行は預金を様々な用途に使用します。
ただ、返還請求(実際には預金引き出しの行為)があれば返還する必要があります。
ただ、そのときに返還するのは預かった時と同じものである必要はないと規定されています。
このように世の中で普通に行われている物を預ける行為は全て、法律的にはこの「寄託」という言葉で説明されます。
「預託」とは?
「預託」とは、一般的には「現金や有価証券などの金品を一定の条件で預けること」を言います。
実際には、「銀行預金」や「敷金、補償金」なども「預託」に含まれます。
ただ、法律用語ではないので、「預託」を行う場合には詳細や条件等を記載した契約書を作成するのが一般的です。
例えば賃貸契約時の敷金は賃料の担保として貸主が預かる金銭で、返済する必要があるものと契約書には書かれます。
「寄託」と「預託」の違い
「寄託」と「預託」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つは何かを預けるという意味では同じですが、根本的な違いは「法律用語として意味があるかどうか」ということです。
すなわち、「寄託」は法律用語として民法や商法で定義されているので、「預ける行為や契約」を法的に扱うためには「寄託」を使う必要があります。
それに対して、「預託」は法律用語ではないので、法律上の定義はありません。
この違いは法的な争いを行う際には重要になります。
「寄託」の例文
「寄託」の例文は以下のようになります。
・『20年前に友人に寄託した本の所有権を主張して、返還を要求しました』
・『無償の寄託に関しては、預かる側に管理責任はありません』
「預託」の例文
「預託」の例文は以下のようになります。
・『銀行にお金を預託することを預金と呼びます』
・『証券会社に預託している株券の詳細はリストに記載されています』
まとめ
この記事では、「寄託」と「預託」の違いを、解説してきました。
このように法律用語として意味があるのは「寄託」なのですが、実際には前述のように「委託金」、「預託金」、「預金」など場合によって様々な言い方があります。
これらは、何かの問題が起きない限りは「寄託」として認識されることはありませんが、弁護士、社会労務士などの法律を扱う人たちは、これらの全てを「寄託」として取り扱う必要があります。