世界史を勉強していると、15世紀のヨーロッパから始まった植民地政策に関しての記述をよく見ます。
この「植民地」とは、大国が当時文化的に未発達であった現地の人たちが住んでいた土地に入植して実力で支配する形で広まり、18世紀にはピークを迎えます。
それでは、この「植民地」とはどういう意味でしょうか。
「属国」との違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「植民地」と「属国」の違いを分かりやすく説明していきます。
「植民地」とは?
「植民地」とは、文字通り「植民によって支配された土地」のことです。
「植民」とは、別の国の人々がその土地に移り住むことを言い、その結果、もともとそこに住んでいた住民たちを武力や経済力で支配下に置くことで「植民地」となります。
15世紀から19世紀にかけて世界中で「植民地」支配が行われ、特に、ポルトガル、スペイン、イギリスなどは世界の多くの土地を「植民地」としたことで、現地の産物を得て、貿易によって他の地域に運ぶことによって多くの富を得てきました。
日本が第2次世界大戦までに行なったアジア地域の支配も「植民地」政策と呼ばれています。
支配する側の国を「宗主国」と言います。
英語では「colony」です。
「属国」とは?
「属国」とは、現在では「従属国」と呼ぶのが正しいとされていますが、「植民地」のように、実力で支配されている国のことを言います。
ただし、時代やシチュエーションによってこの言葉が表す意味が変わってくるので、注意が必要です。
この記事では最も一般的な定義である、「主権の一部を宗主国によって奪われている国」のことを指す言葉として説明しています。
特に日本が20世紀初頭から第二次世界大戦までの間に支配した多くのアジアの国々のことを示す言葉として使われることが多い言葉です。
英語では「client state」と呼びます。
「植民地」と「属国」の違い
「植民地」と「属国」の違いを、分かりやすく解説します。
これらの言葉は、大国がより規模の小さい国を実力で支配している状況を表す言葉ですが、使われ方が時代や場合によって異なり、公式の定義は確立されていないのが現状です。
それを踏まえた上で、最も一般的な定義によると、「属国(従属国)」は、主権の一部を宗主国によって奪われている国を表し、「植民地」は「属国(従属国)」の一つのカテゴリーで、「入植によって実力支配されている国や地域」のことを表すという定義です。
そう言った意味で、現在は「植民地」支配が行われている国はないというのが公の見解になります。
「植民地」の例文
「植民地」の例文は以下のようになります。
・『多くの民族がヨーロッパを中心とするの長年にわたる植民地政策の犠牲になりました』
・『植民地はSF作品においても頻繁に取り上げられるテーマの一つです』
「属国」の例文
「属国」の例文は以下のようになります。
・『属国と呼ばれるのは大変屈辱的なことです』
・『植民地政策以前にも実質的な属国として支配されていた国は多く存在しました』
まとめ
この記事では、「植民地」と「属国」の違いを、解説してきました。
現在の国際法上では「植民地」は違法とされているため、存在しないということになっています。
しかし、チベットやモンゴルなどは元々の住民からすれば不当に支配されているとの見方もあり、またヴァージン諸島のように、アメリカとイギリスに分断されているようなところ、アメリカの自由連合盟約もあり、微妙な状況であることも指摘されています。