この記事では、「農民」と「百姓」の違いを分かりやすく説明していきます。
「農民」とは?
もっぱら農業生産をする人です。
農業とは、土地の力を利用して野菜や果物などを育てたり、家畜を飼育したりして、衣食住に必要なものをつくり出す産業のことです。
たとえば、畑にニンジンの種を植えて、食べるためのニンジンを収穫し、それを出荷することや、牛を飼育して乳を搾り、それを出荷することなどがこれにあたります。
自分たちが食べるものを家庭菜園などで栽培することや、庭で鶏を飼って卵を得て食べることなどではありません。
産業なので、生活をしていくための賃金を稼ぐための手段です。
農業をしている人の中には、農業だけをしている人や、農業と他の仕事をしている人がいます。
この言葉が意味しているのは、農業だけをしている人です。
何を栽培しているのか、何を飼育しているのかは、この言葉の意味には含まれていません。
「農民」の使い方
もっぱら農業生産をする人を指して使用する言葉です。
かつては侮辱の意味を込めて使われていたことがありますが、現在の日本ではそのような意味を込めずに使っています。
「百姓」とは?
「百姓」には4つの意味があります。
1つめは、もっぱら農業をする人です。
土地の力を利用して作物を栽培したり、家畜を飼育したりして、衣食住に必要なものをつくり出す人を意味します。
自分たちが食べる分だけを作ることではなく、それによって生計を立てている人を指します。
何を栽培しているのか、何を飼育しているのかは、意味に含まれていません。
2つめは農作業をすることです。
作物を栽培する、家畜を飼育する、こういったことをやることを意味します。
人のことではありません。
3つめは、あかぬけない人や、しみじみとした趣をわからない人をののしっていう語です。
4つめは、江戸時代に、田畑や屋敷を持ち、年貢・諸役の負担者として検地帳に登録された農業に従事する人のことです。
本百姓ともいいます。
「百姓」の使い方
もっぱら農業をする人を指して使うことが多いです。
特に江戸時代に農業をしていた人を指して使うことがあります。
「農民」と「百姓」の違い
農業だけをする人という意味が同じです。
どちらも、作物を育てたり、家畜を飼育したりしている人を指しています。
「百姓」は人のことだけでなく、農業をするという意味もあります。
「農民」の例文
・『農民の生活環境を改善する』
・『農民たちが冬の間に食べる保存食』
・『農民たちが朝の仕事から帰ってきた』
・『農民が秋の豊作を祈る』
「百姓」の例文
・『一族は百姓をしている』
・『百姓の家に生まれる』
・『父も祖父も百姓だ』
・『百姓の出身』
まとめ
もっぱら農業をする人という意味が同じで、作物の栽培や家畜の飼育をし、衣食住に必要なものをつくり出す人を指しています。
「百姓」には農業をすることという意味がありますが、「農民」にはこの意味がない点が違いです。