ミュージカルや演劇などの舞台を見たことがある人なら分かると思いますが、舞台は映画やテレビドラマと違って全てがリアルタイムに進行し、やり直しが出来ません。
そのために、役者やスタッフは苦労するのですが、逆に舞台でしか味わえない喜びもあります。
それでは、舞台独特の役目である「舞台監督」と「舞台演出家」とはどういうものなのでしょうか。
また、違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「舞台監督」と「舞台演出家」の違いを分かりやすく説明していきます。
「舞台監督」とは?
「舞台監督」とは、舞台で行う演劇やミュージカルなどの「実際の舞台公演においてその全ての進行や状況を管理する」役割を持つ人です。
「監督」という名前ですが、映画の「監督」とはかなり違う役割の人です。
舞台では、最終的な作品の公開が、既に作られたものの映写や放映ではなく、リアルタイムに行われるので、この役割の人は、基本的には舞台にしか必要のないものです。
実際の仕事としては、ものによって大きく違いますが、舞台の設営から、公演中のモニター、スタッフや役者へのキュー出しや状況によってはシナリオの変更まで行います。
「舞台演出家」とは?
「舞台演出家」とは、「舞台芸術の演出を行う人」のことで、映画での「映画監督」に近い役割を持ちます。
一般的にはシナリオの作成段階から関わり、全体の演出プランを決めて、公演に向けて役者とスタッフを動かして作品として作り上げてゆくのが主な仕事です。
したがって、基本的には舞台の公演までの間に行う作業がほとんどです。
映画やテレビドラマの監督と違って舞台独特の演出法や制作方法に関わるスキルを持っている必要があります。
「舞台監督」と「舞台演出家」の違い
「舞台監督」と「舞台演出家」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの役割は作品を作り上げて観客に届けるという意味では同じですが、最も活躍する時期が違います。
すなわち、「舞台監督」が最も活躍するのは舞台の公演中ですが、「舞台演出家」が活躍するのは公演開始までの間です。
この違いによって、根本的な立場の違いが明確になります。
それは「舞台演出家」はクリエイター寄りでありアーティスト寄りですが、「舞台監督」は専門的なスキルを持った職人寄りであるということです。
もちろん、「舞台演出家」のアシスタントが「舞台監督」をやることもあるように、必要なスキルとしては重なっている部分も多くあります。
「舞台監督」の例文
「舞台監督」の例文は以下のようになります。
・『舞台監督のキューを待って役者が舞台に登場しました』
・『舞台監督は、常に時計と進行状況を見て、次のタイミングを変更します』
「舞台演出家」の例文
「舞台演出家」の例文は以下のようになります。
・『舞台演出家は映画における監督と同じ役目の人です』
・『舞台演出家は公演に入るとその役割はほぼ終了します』
まとめ
この記事では、「舞台監督」と「舞台演出家」の違いを、解説してきました。
リアルタイム芸術である舞台では、公演中は基本的に作品を作り上げてゆくことが出来ません。
したがって、制作の作業はそこまでに終わらせておく必要があります。
例えるなら、舞台は映画館で映写している状態と同じわけです。
しかし、映画と違うのは目の前がスクリーンではなく生身の人間と実際のセットであることです。
生身の人間やセットはスクリーンと違って状況によって変化します。
多くのファンにとってはそこが舞台の魅力なのです。