この記事では、「依然」と「已然」の違いを分かりやすく説明していきます。
「依然」とは?
「いぜん」と読み、もとのままであるさま、前のとおりであるさまを指します。
「依」という漢字は、よりかかる、頼みにする、そのまま、もとのままという意味があります。
「然」とは、先に述べたことそのままを指すという意味や、そのとおりという意味があります。
よって、「依然」とは、そのままの状態という意味になります。
「依然」の使い方
もとのままであるさまを表すときに使います。
「依然として状況は変わらない」や、「旧態依然とした方法」などと、使用します。
「已然」とは?
「いぜん」と読み、すでにそうなっている、すでにそうしたという意味です。
国文法の「已然形」で用いることが多くなります。
日本語の古語の活用形は6つあります。
未然形や、連用形、終止形、体言につながるときの形である連体形、已然形、命令形があります。
「已」【イ】とは、已む(やむ)、已に(すでに)、已だ(はなはだ)という読み方の漢字で、やむ、やめる、すでになどの意味があります。
よって、已然形とは、「もうそうなっている」ときに使う活用形です。
例えば、古文で、「春立てば~」という文章は、「春が来たので」という意味になります。
「已然」の使い方
日本語の古文の活用形「已然形」について言う時に使うことが多くなります。
形容詞の已然形は、おもに助詞「ば」、「ど」、「ども」に接続します。
また、「いまこそ新しけれ」のように、助詞「こそ」を受けて文章の終わりに用いられることもあります。
「依然」と「已然」の違い
読み方は同じですが、意味は違います。
もとのまま、昔のままであることという意味の「依然」に対し、「已然」は、既にそうした、そうなっている、という意味です。
また、「依然」は今もよく使いますが、「已然」はあまり使用されません。
同じ読みの言葉に「以前」があります。
「以前」は、そのときよりも前という意味になります。
「以前」と書きたかったのに、「依然」や「已然」と入力してしまうことがあるので、注意が必要です。
「依然」の例文
・『工場をフル回転していますが、依然として、深刻な半導体不足が続いています』
・『大規模な水害が起こり随分経ってしまったが、依然被災者の全員救出には至っていない』
・『素晴らしいアイディアが頭に浮かびましたが、旧態依然とした雰囲気の会社では、実現できそうもありません』
・『旧態依然な夫は、今でも女性の部下のことを、お局さんと呼んでいる』
「已然」の例文
・『已然の事故について検証するばかりではなく、事故を未然に防ぐことが大切だと思います』
・『古文を勉強しているのですが、已然形がよく分かりません』
・『形容詞の活用表を作る問題で、已然形と命令形を間違えてしまいました』
まとめ
どちらも同じ読み方をし、状態を指す言葉です。
「已然」は、すでにそうなっている状態を指し、「依然」はもとのとおりである状態を指す言葉です。
違いを知って、使い分けてください。