時代劇に登場する言葉はよく間違えられるものがあり、中でも「印籠」と「引導」は言葉が似ているので誤用しやすい言葉として有名です。
この記事では、「印籠」と「引導」の違いを分かりやすく説明していきます。
「印籠」とは?
「印籠」とは小型の携帯容器であり、中に様々な道具や薬などを入れることが可能になっています。
小さ目の容器であり、素材も色々なものがあり用途に応じて使われています。
紙製のものから、木製、金属製など種類が豊富ですが、それぞれで作る工程が異なり耐久性も違うのが特徴です。
和紙のものは一見すると耐久性に乏しいと思われがちですが、漆である程度コーティングしているために小型容器としては取り回しに便利となっています。
木製や金属製の「印籠」は時代劇でもよく使われる小道具であり、本来は薬入れとしての道具の他にも水戸黄門様の身分を証明するアイテムとして使われているのは有名です。
庶民から立場の高い人まで便利な道具として「印籠」は使用されており、高価なものだと豪華な装飾や紋様が描かれており、これらの「印籠」は古美術品として値段が高いものとして取引されています。
「引導」とは?
「引導」とは元々仏教用語であり、一般人に教えを与えて導くことを表す言葉です。
「引導」は生きている人間に対して仏門や悟りへの道を開くのに使われますが、これ以外にも死者や迷っている霊魂に対して悟りを得られるように説法や法語を唱える時にも使います。
この「引導」は仏教用語なのでこの意味ではあまり使われることは多くありませんが、慣用句である「引導を渡す」という言葉は一般的に使われる言葉として有名です。
この「引導を渡す」は前述の死者や霊魂に対して悟りを与えるという意味から派生したものであり、成仏させる行為から色々な場面で例えとして使われます。
「引導を渡す」は最終宣告を渡す時や決着を付ける時に使う言葉であり、話し合いや決断の時から、バトル漫画の勝負や因縁の対決というシーンでも使われます。
「印籠」と「引導」の違い
「印籠」は薬を入れる小型の容器であり、「引導」は悟りを与えることや決着を付けるという意味の言葉で全く異なるものです。
「引導を渡す」という言葉は色々な場面で最終宣告をする時に使われますが、「印籠を渡す」は単純な行為であり固有の意味は存在しません。
「印籠」の例文
・『印籠を掲げた老人が将軍家の人物だと分かり、全員がひれ伏した』
・『美術品であった印籠は鑑定で大きな金額をたたき出した』
「引導」の例文
・『彼の試合結果は前年のチャンピオンに対して引導を渡すような快勝であった』
・『引導を渡すと叫んだ暗殺者は、護衛の騎士によって撃退された』
まとめ
時代劇でよく使われる言葉として「印籠」や「引導」は有名です。
それぞれ全く異なる言葉ですが、「引導を渡す」の誤用として「印籠を渡す」という言葉がよく使われます。