「切実」と「大切」は類似した意味を持つ言葉です。
「切実」という表現は「今の私にとって切実な問題でした」といった文章で使い、「大切」という表現は「家族の健康が何よりも大切です」といった文章で使われますが、「切実」と「大切」の意味の違いはどこにあるのでしょうか?
「切実」の意味や使い方
「切実」という表現は、「心に深く感じるさま・身に沁みて感じること」や「自分に直接のかかわりがあって重要であるさま」を意味しています。
更に「切実」の意味として、「実際の自分・状況によく当てはまっていて適切であるさま」もあります。
「切実」の表現の使い方は、「切実な願望」のように「心に深く感じている」の意味で使ったり、「受験は切実な悩みです」のように「自分の身近ことに深くかかわっているさま」の意味で使ったりするという使い方になります。
また「切実な表現で日記を書き残す」のように、「切実」は「実際の自分に当てはまっていて適切であるさま」の意味でも使われます。
「大切」の意味や使い方
「大切」という表現は、「もっとも必要であり重要でもあるさま」や「丁寧に取り扱って大事にしているさま」を意味しています。
「大切」の表現の使い方は、「大切な時計なので注意して扱ってください」のように「もっとも必要であり重んじているさま」の意味で使ったり、「大切に育ててきた娘」のように「傷つけないように丁寧に(大事に)しているさま」の意味で使ったりするという使い方になります。
「切実」と「大切」の違い
「切実」という表現は、「心に深く感じるさま・身に沁みて感じること」という心理的な感覚・情感に意味の重点がありますが、「大切」という表現にはそういった「心に深く感じる感覚」の意味がないという違いがあります。
「切実」が持つ「自分に直接のかかわり(身近な関係性)があって重要であるさま」の意味には、「切実な問題」のように「差し迫っていて重要」というニュアンスがありますが、「大切」にはその「差し迫っているの語感」はないのです。
「大切」には「丁寧に取り扱って大事にしているさま」の意味があって「大切な子供・大切な宝物」という表現ができますが、「切実」にはその意味はないので「切実な子供・切実な宝物」という表現はできないという違いもあります。
「切実」を使った例文と意味を解釈
「少しでも給料が増えないと毎月の支払いもできないというのが、切実な問題でした」
この「切実」を使った例文は、「切実」の表現を、「自分と直接的なかかわりがある重要な問題でした」という意味で使っています。
「大切」を使った例文と意味を解釈
「私は愛犬のチワワを、生まれたばかりの小さな頃から実の子供のように大切に育ててきたのです」
この「大切」を使った例文は、「大切」の表現を、「チワワを実の子のように丁寧に扱って大事に育ててきた」という意味を持つ文章で使用しています。
まとめ
「切実」と「大切」の意味の違いについて説明してきましたが、「切実」の表現は「心に深く感じること・自分に直接の関係があるさま」に意味の重点があります。
それに対して、「大切」の表現は「必要かつ重要であること・丁寧に扱って大事にするさま」に意味の重点があります。
「切実」と「大切」の意味の違いを正しく理解して、内容や文脈・状況に応じて適切に使い分けるようにしてください。