複数の人間が共同で犯罪を犯したときに使われる言葉に「教唆」と「幇助」があります。
このふたつはどのような以外があるのでしょうか。
今回は、「教唆」と「幇助」の違いについて解説します。
「教唆」とは?
「教唆」とは、「言葉巧みに人を操り自分の都合のいいように誘導し行動するよう仕向けること」を意味する言葉です。
「教唆」とは「人をそそのかす」ことです。
「他人に対しうまいことや都合のいいことを吹き込んで自分の利益につながるような行為をさせること」を「教唆」と表します。
法律用語としては「他人をそそのかして犯罪を決意させるまたは実行させること」を意味します。
犯罪には必ず動機がつきものですが「教唆」とは「犯罪を実行しようという気がない他人に対し言葉を用いて思考を誘導したり金銭などの利益を提示するなどして犯罪に向かわせる」という犯罪の動機づけとなるような行動を指します。
「教唆」は犯罪実行の意志を生じさせるという犯罪において深い関わりを持つ行為であり直接的に実行していない場合でも実行犯と同等に扱われます。
一般的には「教唆」したものが主犯格であることが多く、手段や方法の制限を問わず共犯者として正犯に準じた処罰が下されます。
「教唆」の使い方
・『犯罪を教唆した容疑で取り調べを受ける』
・『自らの利益のために他人に殺人を教唆するのは許されることではない』
・『直接手を下していなくても教唆が認められれば量刑は実行犯と同等になる』
・『闇に紛れて襲撃するよう教唆したと自白した』
「幇助」とは?
「幇助」とは、「人の行動を手助けすること」を意味する言葉です。
「他人がやっている行動に対してうまくいくよう力を貸す行為」を「幇助」と表現します。
行動を直接手助けする以外にも資金を援助したり場所や機材を提供したりといったような幅広く力を貸す行為全般を指す表現です。
「幇助」という言葉は日常会話ではあまり使いません。
使われる場面の殆どは法律に絡む話題です。
法律用語としての「幇助」は「他人の犯罪行為に対し成立を容易にするため力を貸すこと」という意味で使われます。
実行犯をサポートする共犯者を指す言葉であり、直接的な実行犯ではなくても犯罪者として取り締まりの対象になります。
犯罪を「幇助」したものは罪に問われますが直接的な実行犯でないことが考慮され量刑は実行犯よりも軽くなります。
「幇助」の使い方
・『殺人幇助の疑いで逮捕される』
・『有罪だったが幇助だったので比較的軽い罪で済んだ』
・『実行犯は逮捕されたがまだ幇助したものが逃亡中だ』
・『逃走資金の提供者を幇助の疑いで取り調べる』
「教唆」と「幇助」の違い
「教唆」と「幇助」の違いは「関わりの深さ」です。
「教唆」はそそのかして実行を促すことを意味します。
事件の主導的な役割であり刑事裁判での量刑は直接犯罪を行った実行犯と同様に扱われます。
「幇助」は犯罪の手助けを意味します。
関与はしているもののあくまでもサポートであり関わりは深いものではありません。
法律でも「幇助」は「教唆」に比べて関与の程度が低く中心的な働きをしていないことから軽い量刑となっています。
まとめ
「教唆」と「幇助」は法律で必ず登場する用語です。
どのような形で事件に関わっているのかに違いがあるのでそれぞれの意味を理解し混同しないように注意してください。