刑務所に入れられる刑罰として「禁固刑」と「懲役刑」がありますが、このふたつの刑罰にはいったいどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「禁固刑」と「懲役刑」の違いについて解説します。
「禁固刑」とは?
「禁固刑」とは、「身体の自由を制限され刑事施設に拘置される刑罰」を意味する言葉です。
「禁固刑」を簡単に説明すると「牢獄に長く入れられる刑罰」です。
日本の場合いわゆる牢獄に当たる施設が刑務所ですが「禁固刑」に処されたものは身柄を拘束され刑務所に収監されます。
刑務所内では自由な行動が許されませんが労役などの義務は課されず、刑務所内で自由に行動できないこと自体が刑罰になります。
法的な考え方では身体の自由が制限される種類の刑罰のことを「身体拘束刑」といいます。
「禁固刑」は「身体拘束刑のうち比較的長期で労務作業を課されない刑罰」を指す言葉です。
自由主義的な価値観において個人の自由は最も尊重されるべきものであり価値があると考えられます。
「禁固刑」はそのようなすべての人が自然状態で持っている自由という権利を制限する刑罰です。
自由主義的な価値観からすると自由が制限されるのは非常に重い刑罰となります。
多くのの国々においても「禁固刑」に相当する刑罰は比較的重い罪に対して適用されています。
「禁固刑」の使い方
・『裁判で禁固刑が下される』
・『禁固刑が確定し身柄が刑務所に移される』
・『あの建物にいるのは禁固刑の受刑者だ』
・『禁固刑の服役中はもっぱら読書して過ごしていた』
「懲役刑」とは?
「懲役刑」とは、「身体の自由を制限され刑事施設に拘置され労務を課される刑罰」を意味する言葉です。
一般的に「懲役刑」は「刑務所に入れられる刑罰」という意味で使われていますが、正確には「刑務所に入れられて労務につく罪」を指します。
「懲役刑」に処された受刑者は刑務所内で生活しながら労務と呼ばれる作業に就きます。
労務を通じて社記復帰に必要な知識や技能の習得を目指すと同時に教育し、再び犯罪を犯す事の内容服役期間を過ごし構成を目指すのが「懲役刑」の目的です。
「懲役刑」は「身体拘束刑」の一種ですが扱いは国や地域によって異なります。
日本では工作作業など技術習得につながる作業を労務として課していますが、刑務所外に出ての土木作業などを労務とする国もあります。
身体拘束の程度にも大きな差があり日本では全ての受刑者がほぼ平等に扱われますがお金を払うことで固執が利用できたり快適な設備が利用できたりする国もあります。
「懲役刑」の使い方
・『裁判で懲役刑が確定する』
・『死刑の可能性もあったが判決は懲役刑だったので安心した』
・『懲役刑の効果について議論が起きる』
・『過去に懲役刑に服していたが現在は罪を犯すことなくまじめに生きている』
「禁固刑」と「懲役刑」の違い
「禁固刑」と「懲役刑」の違いは「労務の有無」です。
「禁固刑」は刑務所など専門施設に収監され自由が制限されますが労務を課されることはなく認められる範囲で自由に時間を使えます。
「懲役刑」では教育や社会復帰のための技術習得を目的とする労務作業を課されます。
労務を伴わない身体拘束刑でも1日以上30日未満の場合は「拘留」として区別されます。
まとめ
同じ刑務所に入れられる刑罰でも「禁固刑」と「懲役刑」では全く違います。
罪状により適用される刑罰には違いがあるので混同しないよう注意しましょう。