敵地で密かに活動する役目を表す言葉に「工作員」と「スパイ」がありますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「工作員」と「スパイ」の違いについて解説します。
「工作員」とは?
「工作員」とは、「敵の勢力範囲に潜入し情報収集や作戦行動などを密かに行う役割の人」を指す言葉です。
外国で国や組織など権力の指示のもとに秘密裏に行われる表に出せない非合法活動のことを「工作活動」といいます。
「工作員」とは工作活動を実行する人を指す言葉です。
「工作員」の定義はいろいろありますが広く知られているのは「敵国内で制服を着用せずに軍務を行う軍人」というものです。
軍人という身分を隠して自国の利益のために軍務を行うものは「工作員」であるとみなされ多くの国では違法な存在として取り締まりの対象になります。
工作活動は非常に幅広く機密情報の奪取や兵器開発のを妨害など派手で直接的な活動だけでなく新聞やニュースの情報分析や経済動向の調査など合法的な活動であっても外国の指示のもとに行われるその国にとって不利益をもたらす活動に従事している人は「工作員」です。
デマや噂などの情報操作で大衆を扇動したり賄賂や脅迫で要人を操ったりするのも「工作員」の仕事です。
「工作員」の使い方
・『憲兵の活躍により市中に潜む工作員が一斉に摘発された』
・『工作員の手が大臣にまで及んでいることに衝撃を受ける』
・『入国審査で工作員であることがばれないよう精巧な偽造パスポートを用意する』
・『突然踏み込んできた警察に工作員の疑いで連行される』
「スパイ」とは?
「スパイ」とは、「敵の勢力内に潜り込んで諜報活動を行う人」を意味する言葉です。
相手の情報を盗み出したり横流ししたりなど秘密裏に探りだす活動のことを「諜報」といいます。
「国家や巨大組織など対立する相手の内部に密かに入り込んで諜報活動を行う人」を「スパイ」と表現します。
競争する関係性において相手の情報は大きな価値があります。
相手の行動をいち早く察知すれば事前に対策が立てられますし、スキや弱みを突くこともできます。
そのように価値ある情報を密かに盗みだす役割を担うのが「スパイ」です。
こっそりと敵地に潜入して人に知られることなく情報を盗み出すのが「スパイ」の主な仕事ですが、それ以外にも人を籠絡して秘密を聞き出したり相手の信頼を得てそれなりの身分を獲得し情報を獲得するなどさまざまな活動で情報を得ます。
「スパイ」の使い方
・『この中にスパイがいる可能性がある』
・『スパイに情報を盗まれたがダミーだとは気づかれていないようだ』
・『信頼していた秘書が実はスパイだったと聞かされる』
・『地味で印象が薄い人ほどスパイに向いている』
「工作員」と「スパイ」の違い
「工作員」と「スパイ」はどちらも対立相手のところに潜入して活動する人を指す言葉で非常によく似た意味ですが「活動仕事内容」に違いが見られます。
「工作員」は敵対勢力に不利益をもたらす工作活動全般を行います。
「スパイ」は情報収集や機密の盗み出しなど情報が専門分野です。
その他に潜入活動するものを敵味方なく指す言葉が「工作員」、敵側から自陣に潜入して活動する者を「スパイ」、自陣から敵側に送り込まれている者を「エージェント」とする立場の違いによる使い分けもされています。
まとめ
「工作員」と「スパイ」は日常ではまず関係することのない人たちですが現実にも様々な場所に潜んでいるとされています。
映画や小説などフィクションではよく登場する言葉なのでそれぞれの意味と違いを知っておきましょう。