何かを行った跡、証拠とも言える「痕跡」と「形跡」には、どのような違いがあるのか。
この記事では、「痕跡」と「形跡」の違いを分かりやすく説明していきます。
「痕跡」とは?
過去に何かがそこにあったことを示す言葉が「痕跡」です。
そこで何があったのかということが具体的にわからない状態でも用いることができる言葉です。
「痕跡」の使い方
「残っている痕跡」、「痕跡あり」、「痕跡なし」、「痕跡を捜す」など、「痕跡」がどのような状態なのか、状況なのかを表す使い方が多くなります。
「形跡」とは?
物事が行われたあと、何かがあったあとを示す言葉が「形跡」です。
そこで、何が行われたのかということがわかる証拠ともなるもので、「形跡」の場合、そこで、何が起こったのか、行われたのか、という出来事が特定されている場合に用いられる言葉となります。
証拠とも言える内容となるため、小さく見逃すようなものではなく、明確で目立つものが基本となります。
「形跡」の使い方
「形跡がある」、「形跡はない」、「形跡をくらます」など、「形跡」がどのような状態なのか、状況なのかを表す使い方が多くなります。
「痕跡」と「形跡」の違い
何かがあった跡という意味を持つ2つの言葉ですが、その何かがあったのかという点で少し使い方が異なります。
「痕跡」の場合、そこで何かがあった、発生したということまではわかっているのですが、実際にその何かが明確ではない場合に用いる言葉となります。
「形跡」は、そこであったこと、発生したことが、特定できている際に用いる言葉となります。
そこで、焚火が行われていた、そこで、パーティーが行われていた、といったように、その場所で行われていことがある程度、わかっている場合に用いる言葉が、「形跡」です。
このように、そこで起きたことがわかっているのか、わかっていないのか、によって使い分ける言葉となります。
「痕跡」の例文
・『私の部屋に私以外の人が入った痕跡があって、なんだか気持ち悪い』
・『私宛の手紙にもかかわらず、一度、誰かが開封した痕跡があります』
・『犯罪者が自分の痕跡を完全に取り除くことなどできない』
・『我が社のサイトに不正アクセスした痕跡があるため、急遽、専門家に調査してもらうことにしました』
「形跡」の例文
・『カギが壊された形跡もなく、どこから泥棒が侵入したのか見当がつかない』
・『ホコリや汚れ具合から見て、この部屋は長い期間使用されていた形跡がありません』
・『勉強中の子供の部屋に急に入ると、慌ててスマホを隠した形跡を発見することができました』
・『ここで、誰かが喫煙した形跡が残っています』
まとめ
このことから、「痕跡がある」と「形跡がある」とでは、一見、同じ意味のように思えますが、その場所で何が起きたのかということがわかっている上で「ある」と応えているのか。
わかっていないものの「ある」と応えているのか。
といった違いがある言葉となります。