「執行猶予」と「仮釈放」の違いとは?分かりやすく解釈

「執行猶予」と「仮釈放」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「執行猶予」「仮釈放」の違いを分かりやすく説明していきます。

「執行猶予」とは?

「執行猶予」とは?

「執行猶予」という言葉には、どのような意味があるでしょうか。

「執行猶予」「しっこうゆうよ」と読みます。

「執行猶予」は、判決で刑を言い渡すときに、被告の犯情を考慮したうえで、一定の期間に刑事事件を起こさず、無事に経過したときに、刑罰権を消滅させる制度のことを指します。

裁判で懲役刑が科せられることが決まった場合、本来は刑務所に入り、罪を償う必要があります。

ただし、「執行猶予」が付けられている場合は、決まった期間の間、事件を起こさず、真面目に暮らすことで、刑務所に入らずに済むという制度のことになります。

例えば、「懲役1年、執行猶予3年」という判決が出た場合、3年間刑事事件を起こさなければ、1年間刑務所に入るという刑罰を免れるということになります。

このような「執行猶予」がつかない判決は「実行判決」と言います。

「仮釈放」とは?

「仮釈放」とは?

「仮釈放」という言葉には、どのような意味があるでしょうか。

「仮釈放」「かりしゃくほう」と読みます。

「仮釈放」は、犯罪を起こして、刑事施設等に収容されているものが、収容期間が満了する前に、仮に釈放されることを言います。

例えば、犯罪を犯して刑務所に懲役10年の刑罰で収容された受刑者が、10年間を待たず、刑務所から出て、社会生活を営みながら、残りの刑期を過ごすことが許されるとき、「懲役10年を言い渡されたが、仮釈放されて、5年で外に出られた」などという文章にできます。

刑法28条に、懲役または禁錮に処されている人が、改悛したと見られる場合、有期刑の場合は刑期の3分の1を過ぎた後で、無期刑の場合は10年を経過した後で、仮釈放ができると定められています。

模範囚と呼ばれるような、反省の見られる受刑者に対しては、早期に社会生活の機会を与えて、更生や社会復帰を円滑に進めようという狙いがあります。

「執行猶予」と「仮釈放」の違い

「執行猶予」と「仮釈放」の違い

「執行猶予」「仮釈放」の違いを、分かりやすく解説します。

「執行猶予」「仮釈放」の大きな違いは、刑務所に入っているかどうかという違いになります。

「仮釈放」は、すでに実刑判決を受けて、刑務所で刑期を過ごしている人に与えられる、早期に社会復帰するチャンスのようなものなのに対して、「執行猶予」は、刑務所に入らず、刑期を全うするチャンスのような制度となります。

裁判中に、裁判官が被告人を見て、刑務所に入らなくても社会復帰ができると感じた場合は、「執行猶予」となり、刑務所に入った受刑者の態度が良く、社会復帰ができると感じた場合は「仮釈放」となります。

まとめ

まとめ

「執行猶予」「仮釈放」の違いについて見てきました。

2つの制度には、刑務所に入るかどうかという、大きな違いがありました。

2つの言葉の違いを知ることで、ニュースを見たときなどに、混同せずに済むのではないでしょうか。