「猜疑」と「懐疑」は何かを疑う際に使用する言葉ですが、細かな意味合いが異なるため場面に応じて使い分ける必要があります。
この記事では、「猜疑」と「懐疑」の違いを分かりやすく説明していきます。
「猜疑」とは?
「猜疑」は「さいぎ」と読み、「他人の言動を率直に受け取らず、何か裏があるのではないかと疑うこと」という意味を持っています。
なお、「猜疑」に使用されている「猜」には「そねむ」や「ねたむ」といった意味があります。
「懐疑」とは?
「懐疑」は「かいぎ」と読み、「物事や人に対して何らかの疑いを持つこと」を意味しますが、主として「特定の物事を信じるために必要な根拠が見つからず、信じるかどうかの判断を保留している状態」を指すとされています。
「猜疑」と「懐疑」の違い
「猜疑」と「懐疑」はどちらも「何かを疑うこと」という意味を含む言葉ですが、詳細な意味合いに違いがあります。
「猜疑」は「他人の言動に何か裏があるのではないかと邪推すること」という意味があり、主に「人」に対して用いる言葉です。
一方、「懐疑」は「何かを信じるための根拠が十分でないために疑うこと」を意味し、「人」だけでなく様々な「物事」に対して使用できる言葉です。
「猜疑」の例文
「猜疑」は「人の言動をありのままに受け取らず、裏があったり何か企んだりしているのではないかと歪んだ受け取り方をすること」を意味し、「人」に対して使用するのが一般的とされています。
「猜疑の目」や「猜疑心」、「猜疑する」といった使われ方をしています。
・『彼は自分の発言に無責任なことが多いので、何か約束されても猜疑の目で見てしまう』
・『上司が自分のミスを部下に押し付けたことがあると聞いて以来、猜疑の心を抱いてしまうようになった』
・『彼女は猜疑心が強いのか、いつも周りの人を疑ってかかっている』
・『仲間だと思っていた人にひどい裏切られ方をしたことが原因で、他人を猜疑する癖がついてしまった』
「懐疑」の例文
「懐疑」は「人や物事を疑うこと」という意味があり、特に「何かを信じるために必要な根拠が欠如しているため判断を控えている」状況で用いられます。
「懐疑の目」や「懐疑的」、「懐疑する」といった使われ方をしています。
・『このたび研究開発された新薬は画期的な薬だが、効果が現れるまでは大衆から懐疑の目を向けられるかもしれない』
・『当初選手たちは新監督に懐疑的だったが、練習や話し合いを続けていくうちに厚い信頼を寄せるようになった』
・『懐疑的な性格は疑り深いとも言えますが、慎重な性格と言い換えることも可能です』
・『何事も鵜?みにせず懐疑して、真実を自分の目で確かめることが重要だ』
まとめ
「猜疑」と「懐疑」の使い分けのポイントは、疑っているのが「人」なのか、「人を含む幅広い物事」なのかを判断することだといえるでしょう。
表記や読み方は似ていますが、双方の詳細な意味合いの違いを理解し、状況に応じて使い分けてください。