この記事では、「阻害」と「弊害」の違いを分かりやすく説明していきます。
「阻害」とは?
物事の進行に問題が出るようにすることです。
意図的に行われる場合も、そうでない場合もあります。
栄養素の鉄には、ヘム鉄と非ヘム鉄があります。
吸収率はそれぞれ異なり、ヘム鉄は15~20%、非ヘム鉄は2~5%です。
非ヘム鉄はわずかにしか吸収されません。
もともと吸収率が低いのですが、さらに吸収を妨げてしまうものがあります。
フィチン酸、タンニン、カフェインなどを一緒に摂取すると、吸収が邪魔されてしまうのです。
フィチン酸は未精製穀物など、タンニンは緑茶や柿など、カフェインはコーヒーや緑茶などに多く含まれています。
これらの成分は、鉄の吸収を「阻害」するものです。
スムーズな吸収に問題が出るような物質といえます。
植物に肥料を適量与えると成長がよくなります。
しかし、窒素を多く与えてしまうと、ミネラル分の吸収が悪くなってしまい、植物の成長が悪くなります。
よかれと思って与えた肥料が、植物の成長を「阻害」するのです。
植物が順調に大きくなることに問題が出てしまいます。
「阻害」の使い方
物事の進行に支障を与えるという意味で使用をします。
意図して行う場合も、そうでない場合も使用できます。
「弊害」とは?
悪い結果や影響を及ぼす物事という意味です。
マスクを着用していると、感染症を防ぐことに役立ちます。
しかし、マスクが肌に触れてかぶれを起こしてしまったり、摩擦で肌荒れを起こしてしまったりすることがあります。
また、メイクをしている人はメイク崩れが気になります。
肌荒れやメイク崩れなどはうれしくないことです。
マスクの着用という事柄が肌に悪い影響を与えています。
このことは「マスク着用の弊害」といいます。
日本の新幹線の中には時速300kmほどを出せるものがあります。
速く進めば早く目的地に到着することができます。
しかし、速度が出るほど騒音が気になります。
線路の近くに住む人にとって、騒音は迷惑なものです。
騒音という「弊害」があるのです。
騒音という悪い結果を及ぼしています。
「弊害」の使い方
悪い影響を及ぼす物事という意味で使用をします。
「阻害」と「弊害」の違い
「害」という漢字を使用している点が似ていますが、意味は異なります。
「阻害」は物事が進むときに支障を与えることです。
邪魔といった意味になります。
「弊害」は害になるものです。
邪魔という意味合いはありません。
「阻害」の例文
・『成長を阻害する』
・『阻害因子』
・『発展を阻害する』
・『脳の働きを阻害する』
「弊害」の例文
・『弊害が伴う』
・『高額になるという弊害』
・『いくつかの弊害が考えられる』
・『弊害は大きい』
まとめ
「害」という漢字を使用している点は似ていますが、一方は物事の進行に支障を与えること、もう一方は害を与えることで、それぞれの意味は異なります。