どんな仕事をしているのかと聞かれたら、その答えは、例えば「化学薬品の研究に従事しています」というようになります。
これを勤務という言葉を使って言い換えると、「化学薬品の研究者として勤務しています」となります。
それでは、この「従事」と「勤務」とはどういう意味でしょうか。
また、違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「従事」と「勤務」の違いを分かりやすく説明していきます。
「従事」とは?
「従事」とは、「仕事についている」という意味を持つ言葉です。
「従」が「たずさわる」とか「したがう」という意味なので、元々は「仕事にたずさわる」とか「仕事に従う」という意味です。
通常は「従事する」という動詞に目的語として「職種」を伴って、どちらかというと改まった文章中で使われることが多い言葉です。
英語でいえば「engagement」が近いでしょう。
「勤務」とは?
「勤務」とは、「仕事をしている」という意味を持つ言葉です。
「勤」が「つとめる」、「務」も「つとめる」という意味の文字ですが、「勤」には「勤勉」のように、一生懸命という意味もあるので、「しっかり仕事をしている」というようなニュアンスもあります。
「勤務する」という動詞の形態で、目的語としては「会社」や「場所」が用いられます。
英語では、「work」が最も近いでしょう。
「従事」と「勤務」の違い
「従事」と「勤務」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つは「働いている」という意味においては同じ意味なのですが、目的語として使用するもののカテゴリーが違います。
すなわち、「従事」するのは「業種」や「職種」ですが、「勤務」するのは「会社」や「場所」です。
職業を伴った「〜として」を付け加えることができるのはどちらも同じです。
これはある程度厳密で、例えば、「医療に従事しています」と「病院に勤務しています」は正しいのですが、「病院に従事しています」や「医療に勤務しています」は明らかな間違いです。
「従事」の例文
「従事」の例文は以下のようになります。
・『私は銀行で窓口業務に従事しています』
・『医療従事者の待遇改善が現在の懸念事項です』
「勤務」の例文
「勤務」の例文は以下のようになります。
・『妻は旅行会社に勤務しています』
・『私は勤務医として病院で働いています』
まとめ
この記事では、「従事」と「勤務」の違いを、解説してきました。
仕事をしているということを表す言葉はこの2つ以外にもたくさんあります。
例えば、「就業」、「在籍」、「在任」、「所属」、「在職」、「労働」、「労務」などです。
これらは少しずつ意味が違っているので、それぞれシチュエーションによって使い分けることが必要になります。
逆に言えば最適なシチェーションで使用しなければおかしい表現になってしまうということです。
それを防ぐためには日頃から多くの「正しい」文章に接することが大切です。