似たような意味を持つ言葉として「従事者」と「従業員」があります。
同じような場面で使われるこの二つの言葉、いったいどこが違うのでしょうか。
今回は、「従事者」と「従業員」の違いについて解説します。
「従事者」とは?
![「従事者」とは?](/sub_images03/00028060_01.jpg)
「従事者」とは、「継続的に仕事や作業についている人」を意味する言葉です。
特定の仕事についていたり作業していたりなど「物事をしている人」を指す言葉として使われているのが「従事者」です。
一般的には一定程度継続的に物事をしていて社会的にも認知されている人に対して使われます。
仕事や作業をしていても短期アルバイトのように期間が短かったり一時的にその作業に就いているだけの人に対しては使いません。
行っている物事の負担がそれなりに大きく果たしている役割にも価値が有る場合に使われることが多く、仕事や業務など職業としてこなしている物事のほか「幅広くその物事に関わっている人」という意味でも使われます。
実際にそのことをしているのが条件なのでかつて行っていたが今は離れている経験者や資格のみで実際には行っていない有資格者などは「従事者」に当てはまりません。
「従事者」の使い方
・『飲食業の従事者には厳しい時代である』
・『介護従事者向けに特別講座が開催された』
・『医療従事者の業務負担を軽減しないと病院が破綻してしまう』
・『職業従事者の数を調べるため統計調査を行う』
「従業員」とは?
![「従業員」とは?](/sub_images03/00028060_02.jpg)
「従業員」とは、「企業と労働契約を結んで働いている人」を意味する言葉です。
「従業員」という言葉は会社員や契約社員、パートやアルバイトなど「その企業と労働契約を結び指揮命令下で仕事に従事している人」を指す表現です。
本来は直接雇用を結んだ人のみに使われる言葉ですが派遣社員など直接雇用関係のない人であってもその企業の監督下にあり指揮命令に基づいて働いている人であれば「従業員」に含まれます。
一般的に「従業員」という表現は「その会社の人」という意味で使われています。
正確には「雇われて働いている人」を指す言葉なので経営者は役員などは含まないのですが慣例では「企業で働くすべての人」という意味で使われており、「従業員一同」という場合は「経営者や役員を含む会社の全員」を指しています。
「従業員」の使い方
・『またのご来店を従業員一同心よりお待ちしています』
・『従業員の待遇改善について話し合いが行われる』
・『人手不足解消のために新たに従業員を雇い入れることにした』
・『サービス品質の向上には従業員研修が効果的である』
「従事者」と「従業員」の違い
![「従事者」と「従業員」の違い](/sub_images03/00028060_03.jpg)
「従事者」と「従業員」の違いは「雇用関係」です。
「従事者」は仕事や作業に付いている人を指す言葉なので雇用関係がない人にも使われます。
例えばフリーランスの編集者は会社に雇われていませんが出版業界で働いているので出版業従事者に当たります。
蓄えた財産で生活しながら個人で言語学の研究を行っている人は仕事ではありませんが言語学の従事者に該当します。
「従業員」は雇用されて仕事に付いている人を指す言葉なので労働契約を結んで企業に雇われていない人には使いません。
社員やアルバイトなど労働して給料をもらっている人のみに使われる言葉です。
まとめ
![まとめ](/sub_images03/00028060_04.jpg)
「従事者」と「従業員」はよく似た言葉ですがい味は明確に異なります。
言葉の違いに注意して適切な表現を用いるようにしましょう。