企業経営の経費に関係する言葉として「固定費」と「サンクコスト」があります。
この2つは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「固定費」と「サンクコスト」の違いについて解説します。
「固定費」とは?
「固定費」とは、「業績や経済状況にかかわらず必ず負担しなければいけない費用」を意味する言葉です。
「固定費」が意味するのは「固定化された費用」です。
「どのような状況においてもその費用の支払だけは変動することなく必ずしはらなければいけない費用」を指して「固定費」と表現します。
例えばオフィスの家賃は業績が上がろうと下がろうと毎月必ず定額を支払わなくてはいけません。
このように「変動することなく定期的に必ず支払いを求められる費用」が「固定費」です。
不動産の賃料や地代のほか保険料や備品のリース料などが「固定費」にあたります。
人件費はシフト調整やリストラなどで変動はあるものの基本的には毎月定額の給料を支払わなければいけないので「固定費」として扱います。
「固定費」が増えるほど企業経営の負担は重くなります。
業績が好調ならば問題ないのですが何らかの理由で業績が大きく下がり利益が望めなくなったとしても「固定費」の支払いは避けられません。
場合によっては利益を「固定費」が上回ることもあり、仮に「固定費」の支払いが不能になると経営そのものが行き詰まってしまいます。
「固定費」の使い方
・『負担を軽くするため固定費を見直すことになった』
・『固定費を削るにしても限界がある』
・『賃料の安い物件に引っ越したので固定費がずいぶん軽減された』
・『固定費の負担に苦しめられる』
「サンクコスト」とは?
「サンクコスト」とは、「既に支出済みの費用のうち取り戻すことができないもの」を意味する言葉です。
経費や費用は「見なおしたり中止したりすることで取り戻せるもの」と「一旦支払ってしまったら取り戻すことができないもの」の2種類に分けられます。
既に支払いが住んでいる費用のうち「どうやっても取り戻すことができないお金」を指す言葉が「サンクコスト」です。
高額の商品を購入する場合、一度に全額を支払わず最初に手付金を支払い残金は分割で支払うことがあります。
このような契約を結んだ後に何らかの理由で商品購入そのものをとりやめると残金に関しては支払う必要がなくなりますが最初に手付金として払ったお金に関しては商品調達コストや仕入れの経費などがかかっているという理由で返金されません。
このような「既に支出が完了していてどうあっても回収不能なお金」を指して「サンクコスト」と表現します。
「サンクコスト」の使い方
・『返金されない大学の入学金はサンクコストにあたる』
・『見直しの可能性が高い以上、サンクコストになりかねないお金の支払いには慎重になるべきだ』
・『オリンピック中止に伴うサンクコストを試算する』
・『事業を中止した場合のサンクコストを考えると継続したほうが損失は少ない』
「固定費」と「サンクコスト」の違い
「固定費」は定期的に支払わなければいけない費用を指すのに対し「サンクコスト」は支払い済みで回収不能の費用を指す言葉です。
経営状況や収支にかかわらず「固定費」は必ず発生しますが、「サンクコスト」は事業の中止や見直しなど当初の計画が変更された時のみに発生します。
「固定費」は経営全般に関わる費用、「サンクコスト」は経営判断の見直しに関わる費用です。
まとめ
同じ費用を表す言葉でも「固定費」と「サンクコスト」は全く意味が異なります。
プロジェクトの試算や事業の見直しなどでよく使われる言葉なのでただしい意味理解しておきましょう。