ひとつしかないことを表す言葉として「単一」と「唯一」があります。
このふたつの言葉はどのように違うのでしょうか。
今回は、「単一」と「唯一」の違いについて解説します。
「単一」とは?
「単一」とは、「形や構造などが同じで一貫していること」を意味する言葉です。
「数がたくさんある物同士に違いがなく皆一様であること」を指して「単一」と表現します。
物体としては別々でも形や構造などが共通していて機能や性能も均一である様子を指す言葉が「単一」です。
「単一」は「例外がない」「皆同じ」というような「選択肢がひとつしかない」状態を表しています。
特定の企画に従って大量に作られた商品や同じデザインで製作された作品など、どれをとっても同じ作りで容易に代替となるものが「単一」です。
「単一」には「ルールによって統一されている一つのもの」という意味もあります。
複数の地域で共通して使える同じ仕様で同じ価値を持つ通貨のことを「単一通貨」と表現します。
この場合の「単一」は「通貨としての経済的価値や信用力が統一されている」という意味です。
「単一」の使い方
・『単一通貨の導入に向けて話し合われる』
・『この地域は外部流入が少ない単一民族が暮らしている地域である』
・『各地の有力者が次々と恭順を示し単一国家が形成された』
・『一つの品種しかつくらない農業のことを単一栽培という』
「唯一」とは?
「唯一」とは、「他にはなくただ一つきりであること」という意味の言葉です。
「同じものがなくそれ自体が一つしか存在していないこと」を「唯一」と表現します。
類似品や代替品は存在していてもそれとは決定的に違いがあり全く同じものとしては扱えない高い希少性を有するものが「唯一」です。
世界中どこを探しても同じものがないものが「唯一」なのでとても貴重なものに対して使われます。
四字熟語「唯一無二」は「世界に唯一つで二つとはない」というたった一つであることを強調する表現です。
「唯一」の使い方
・『なんで美味しく食べるが、唯一ナマコだけは口に合わなかった』
・『他に楽しみのない彼女にとって飼い猫と遊ぶのが唯一の楽しみである』
・『勉強が苦手で運動もできずオンチな彼にとって、字の上手さだけが唯一の特技だ』
・『四回転アクセルは世界で唯一彼だけが跳べるジャンプである』
「単一」と「唯一」の違い
「単一」と「唯一」の違いは「希少性」です。
「単一」とは複数あるものの形や機能などが同一であることを意味します。
全てが同じで例外がなく統一されている様子を指す言葉なので、見た目や性能などに違いのないそっくりのたくさん存在しているときに使います。
「唯一」は世界に唯一つしかないことを意味します。
形や性能はもちろんそれ自体が変わりのない一つだけのものに対して使われる言葉なので2つ目は存在しません。
たくさんあるが皆同じなのが「単一」、たくさんはなくひとつだけで他になく希少なものが「唯一」という違いで使い分けられます。
まとめ
「単一」と「唯一」は似ているように思われがちですが言葉の意味は全く違います。
混同するとおかしなことになってしまうのでそれぞれの意味に注意して間違えないようにしてください。