この記事では、「序破急」と「起承転結」の違いを分かりやすく説明していきます。
「序破急」とは?
「序破急」とは日本の様々な芸能で使われている理念である三部構成です。
始まりにあたる序、序の展開から一転して見せる破、そして速やかに様々なことが成され完結に向かう急で構成されています。
元々は日本の伝統音楽である雅楽から生まれたと言われる概念で、雅楽においては拍子にはまらない序、緩やかなものの拍子に乗り秩序感を見せる破、そして早い拍子に移り変わる急を意味し、これらを完備するのが雅楽の理想と言われていました。
現代では雅楽だけでなく小説や連歌のような文章を楽しむもの、舞台や能楽に演劇など演技のストーリーの他、剣術や居合道のようなスポーツ、香道や茶道など日本の伝統的な芸能でも意識されています。
様々な日本の伝統芸能に影響を与えた、とても重要な理念が「序破急」です。
「起承転結」とは?
「起承転結」とは主に文章構成で使われる構成法です。
始まりである起、それを受けて話を深める承、そこから事態が変化を見せる転、オチをつけ物語としてのまとまりをつける結で構成されます。
元々は漢詩の中でも4つの句という短い言葉だけで詩を作る絶句で、無駄なく効率的に詩を構成するために考えられた構成です。
中国から強い文化的影響を受けている日本では絶句は定着しませんでしたが、「起承転結」は絶句以外の文章や話の構成としても優れていたので、そういった分野で構成のお手本として、「起承転結」は定着しました。
現代日本でも小説や舞台の台本などのストーリーを書く際には、多くの物書きが大なり小なり意識される構成の雛形が「起承転結」です。
「序破急」と「起承転結」の違い
「序破急」と「起承転結」の違いを、分かりやすく解説します。
「序破急」は日本において様々な芸能分野に影響を与えた三部構成で、「起承転結」は文章や話作りに使われる四部構成です。
「序破急」は原点である雅楽や、主に使われている文章や物語だけでなく、日本の伝統的な芸能やスポーツにもその理念が生かされています。
「起承転結」も日本でも古くから定着していますが、利用されるのは物語や脚本などの文章的なものだけです。
また「序破急」は日本の伝統文化から生まれた理念なのに対し、「起承転結」は古代中国で生まれた理念という違いもあります。
「序破急」は三部構成なので短い物語から長編ストーリーまで幅広く意識されますが、「起承転結」は話やキャラクターを深める余裕と価値がある時に重宝される構成です。
まとめ
「序破急」も「起承転結」も上手な文章構成のために意識される構成理念ですが、日本で生まれた「序破急」より、中国で生まれた「起承転結」の方が日本でも比較的ポピュラーなのは面白いポイントと言えるでしょう。
ただしさすがに伝統芸能の分野では、「序破急」の方が「起承転結」より幅広く伝わっていて、様々な芸能に影響を与えています。