この記事では、「撞着」と「矛盾」の違いを分かりやすく説明していきます。
「撞着」とは?
「撞着(どうちゃく)」とは、「二つの物事が突き当たって両立しないさま」を意味しています。
「撞着」という言葉は、「二つの事柄がぶつかり合うこと・ぶつかり合って同時には成り立たないさま」を示しているのです。
「撞着」には「矛盾」の持つ「どんな堅固な盾でも貫く矛とどんな矛でも防ぐことができる盾」のような中国古典のエピソードはないものの、「撞着」は「矛盾の同義語」として扱われています。
すなわち、「撞着」の持つもう一つの意味として、「物事の前後の意味・内容などのつじつまが合わないこと」を挙げることができるのです。
「矛盾」とは?
「矛盾(むじゅん)」とは、「つじつまが合わないこと」を意味しています。
「矛盾」は、「物事あるいは話の内容の前後がつながっていなくて両立しないさま」を指している言葉なのです。
「矛盾」という言葉は、中国古典である「韓非子」のエピソードに基づく故事成語です。
楚(そ)の商人が矛と盾を売っていて、「私の矛はどんな盾でも突き通せる+私の盾はどんな矛でも防ぐことができる」と宣伝していました。
それを聞いた人が、「お前の矛でお前の盾を突いたらどうなるのか?」と問うたところ、商人が返答に窮してしまったというエピソードに由来している言葉が「矛盾」なのです。
「撞着」と「矛盾」の違い
「撞着」と「矛盾」の違いを、分かりやすく解説します。
「撞着」と「矛盾」はどちらも「つじつまが合わないこと」を意味する同義語ですが、一般的に「撞着」よりも「矛盾」のほうが認知度も使用頻度も高くなっています。
「撞着」は口語(話し言葉)でも文語(書き言葉)でも滅多に使われない言葉である違いがあり「矛盾撞着」という四字熟語も「矛盾」と同じ意味ですが、あえて使うシーンは文学的表現などに限られます。
「矛盾」は故事成語として「韓非子」の有名なエピソードが下敷きになっている違いもあります。
また「撞着」は「突き当たって両立しない」、「矛盾」は「矛と盾の絶対的な性能が両立しない」のニュアンスの違いもあります。
「撞着」の例文
・『二人の供述内容は明らかに撞着しているが、それはそのままどちらかが真実ではなく虚偽の証言をしていることを示唆しています』
・『自家撞着を起こしている自覚がないので、彼は平気で非論理的な主張を続けることができるのです』
「矛盾」の例文
・『彼女の説明が矛盾していたので詳しく話を聞いていくと、遠距離恋愛中に他に好きな男ができたことが分かりました』
・『自分の言動に矛盾がない人生を生きようと心がけるほど、正直な言葉が誰かを傷つけてしまうこともあります』
まとめ
この記事では、「撞着」と「矛盾」の意味の違いを分かりやすく解説しましたがいかがでしたか?「撞着」と「矛盾」は両方とも、「話(内容)の前と後が食い違っていて、その話・物事が成り立たないさま」を意味しています。
「撞着」と「矛盾」は同じ意味を持っていますが、「矛盾」のほうが中国の古典に由来するポピュラーな言葉である点が違っています。
「撞着」と「矛盾」の違い・例文について詳しく調べたい場合は、この記事の内容をチェックしてみてください。
