社会の不平等や貧富の差についての話題で登場する「格差社会」と「階級社会」はどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「格差社会」と「階級社会」の違いについて解説する。
「格差社会」とは?
「格差社会」とは、「人々の間に大きな経済格差が存在する社会」を意味する言葉です。
「格差社会」が指すものは「貧富の差」です。
社会の構成員の間に貧富の差があるのは自然なことです。
社会の構成員はそれぞれの判断で仕事をし努力を重ねてお金を稼ぎ幸福を実現しようと行動しますが、どの程度の経済的な収入を得られるかは個人によって大きな違いがあります。
頑張る人と頑張らない人、運が良い人と悪い人などある程度経済的な差が出るのは社会においてしかたのないことですが「一定以上大きな格差が存在しその格差が固定化されてしまっているような社会」を指す言葉が「格差社会」です。
「格差社会」が問題なのは「経済力の違いが個人の努力や資質によらないものになってしまうこと」です。
一般的に経済的な格差は個人の努力や資質、つまりどれだけがんばったかによって決まると考えられています。
しかし「格差社会」の実態を見るとそうではないことがわかります。
必死で頑張っているのに貧しい人がいる一方で生まれや育ちだけで恵まれている人が存在するのが「格差社会」であり、個人の資質ではなく社会の構成システムそのものが貧富の差を生み出しているような社会状況を指します。
「格差社会」が努力するものが報われるのなら大きな問題はないのですが、実態としては生まれや育ちだけで一生が決まる「格差の固定」が存在することで社会の閉塞感から行き詰まりに陥ってしまいます。
「格差社会」の使い方
・『格差社会の是正に向けて動き出す』
・『所得の再分配は格差社会を正すための有効な手段である』
・『一部の人間が富を独占する格差社会は異常だ』
・『格差社会は社会にとって良い影響をもたらさない』
「階級社会」とは?
「階級社会」とは、「生まれついた社会階級によって行動や規範などが決められる社会」を意味する言葉です。
社会構成員の間に存在する階層としての集団を「社会階級」といいます。
一般的には「身分」や「生まれ」を指す言葉で代表的なものとしては「貴族」「実業家」「労働者」などがあります。
「実力や能力とは関係なく生まれついた社会階級によって人生のほとんどが決まってしまう社会」が「階級社会」です。
どの階級に生まれついたかによリ生育環境や受けられる教育水準、就ける職業や守るべきルールなどが決まってしまうような社会的自由が非常に少ない社会を表します。
「階級社会」の使い方
・『イギリスは今でも階級社会である』
・『フランス革命により階級社会が廃された』
・『インドの世界的に見ても厳しい階級社会が続いている』
・『江戸時代までは日本でも階級社会が存在した』
「格差社会」と「階級社会」の違い
「格差社会」と「階級社会」の違いは「経済力」と「階層の移動」です。
「格差社会」を決めるのは経済力で貧富の差によって階層が決まりますが、成果や実績により階層の移動が可能です。
「階級社会」は経済力の有無とは無関係に生まれつきの階級で階層が決まります。
貧乏な貴族もいれば裕福な労働者も存在しますが、富を得たからといって容易に階層は移れません。
まとめ
「格差社会」と「階級社会」は似て非なる言葉です。
混同すると社会認識に歪みが生じてしまうので何が社会のありようを決めているのかに注目して見極めましょう。