この記事では、「侵食」と「浸食」の違いを分かりやすく説明していきます。
「侵食」とは?
「侵食」には2つの意味があります。
ひとつは、他のものの力や作用が及ぶ範囲を、別のものがある行為をしたり、入りこんだりして、次第に損なうことです。
A市場とB市場があったとします。
これまでは、どちらもそれぞれの市場で活動をしていたのですが、あるときA市場の力が及ぶ範囲にB市場が力を及ぼしはじめました。
たとえば、A市場の力が及ぶ範囲を50、B市場の力が及ぶ範囲を50だとします。
これがA市場にB市場が入り込んだことで、A市場が40、B市場が60となったとします。
A市場側からすると次第に損なわれている状態だといえます。
このような、ある領域を別のものがおかすことを意味する言葉です。
もう一つの意味は、水の流れや風などによって土や岩石などが次第に削られることです。
自然現象によるものを指しており、人間がショベルカーで土を削るといったことではありません。
「侵食」の使い方
他のものの力が及ぶ範囲を、別のものがおかすという意味で使用されることが多いです。
「浸食」とは?
流水、雨、風などによって土壌や岩石が削られること、またその作用です。
自然の影響によるもので、人間行為によるものではありません。
海岸線で絶壁が見られることがあります。
崖はほぼ垂直になっていることが珍しくありません。
これは、海からの波によって岩石が次第に削られたことによってできています。
昨日見た絶壁と今日見た絶壁に大きな違いはないかもしれません。
しかし、何十年、何百年という単位で見ると、次第に削られていったのだとわかります。
波には物理的な力があります。
硬い岩石でも物理的な力によって削られてしまい、海岸線で見られる絶壁ができあがるのです。
この現象はときには問題になるものの、人間の力では作れない景色を作り出してくれて、観光資源とされる場合もあります。
「浸食」の使い方
自然の力によって土壌などが削られることを指して使用をします。
人間の力によって削ることには使用しません。
「侵食」と「浸食」の違い
流水や風など自然の力によって土壌や岩石などが削られることという意味が同じです。
この意味では「侵」「浸」どちらの漢字も使用されます。
「侵食」は他の領域をおかすという意味もあり、この点が2つの言葉の違いです。
「侵食」の例文
・『徐々に侵食される』
・『もう一人の自分に別の自分が侵食される』
・『近隣の村を侵食する』
・『次々と侵食していく』
「浸食」の例文
・『風雨によって浸食された』
・『浸食によってできた景色』
・『浸食の影響を食い止める』
・『浸食によってあらわになった断層』
まとめ
水や風などが土壌などを削るという意味が同じです。
使用している漢字が違いますが、どちらも使われています。
一方には他の力が及ぶ範囲を別のものがおかすという意味もあります。