企業に対して用いられる指標として「roic」と「roe」があります。
このふたつはそれぞれ何を表しているのでしょうか。
今回は、「roic」と「roe」の違いについて解説します。
「roic」とは?
「roic」とは、「企業が投じた資本に対しどの程度の利益を生み出しているのかを表す指標」を意味する言葉です。
「roic」は略語であり正式名称を「Return On Invested Capital」といいます。
日本語に訳すと「投下資本利益率」となるこの指標はどれだけ効率よく資本を活用しているかを表しています。
企業は資本を活用して利益を生み出します。
投じた資本に対して利益率が高い、つまり小さな元手で大きく設けているほど優秀な経営が行われている事になります。
「roic」はそのような資本の有効活用度をみる指標であり数字が大きければ大きいほど資本に対して利益率が高い事になります。
「roic」の計算式は「(営業利益×(1-実効税率))÷(株主資本+有利子負債)×100」で表されます。
要するに「利益を調達資金で割った数字」が「roic」です。
株主資本が1千万円で有利子負債が2千万円、営業利益が3000万円で実効税率が0のケースでは「roic」は100%になります。
「roic」が1というのは「資本1円につき1円の利益を生み出している」ことを表しています。
営業利益が10分の1なら「roic」は10%、営業利益が10倍なら「roic」は1000%になります。
日本における「roic」の平均は約4%ですが「roic」は業種により大きく異なるため直接的に異業種間で企業を比較する意味はほとんどありません。
例えば化学セクターの平均は5%前後ですが海運業の平均は2%前後です。
各セクターの産業構造などにより違いが出るので注意してください。
「roic」の使い方
・『roicで企業の価値を計る』
・『株式の購入を検討している企業のroicを調べる』
・『roicは企業の経営状況を知るのに役立つ指標だ』
・『roicが高いほど効率的な経営が行われている』
「roe」とは?
「roe」とは、「企業が自己資本に対しどの程度の利益を生み出しているのかを表す指標」を意味する言葉です。
「Return On Equity」の略称である「roe」が意味するのは「自己資本でどの程度の利益が得られているのか」です。
日本語では「自己資本利益率」となる「roe」は「当期純利益 ÷ 自己資本 × 100」で計算されます。
簡単にいえば「企業が持つ全ての資産や財産に対して生み出されている利益の割合」が「roe」であり数値が大きいほど自己資本を効率的に活用し利益を生み出していることを意味します。
「roe」の使い方
・『企業価値を計るのにroeは便利である』
・『roeの計算はだれでもできる』
・『見せかけだけroeを大きくすることもできるので注意しなければいけない』
・『roeについて勉強する』
「roic」と「roe」の違い
「roic」と「roe」の違いは「有利子負債」です。
「roic」は自己資本と有利子負債に対して生み出された利益を表しますが「roe」は自己資本に対して生み出された利益を表します。
「roe」が企業の価値に対する利益率を示しますが「roic」は実質的な投下資本に対する利益率を示しておりより経営実態を反映している指標です。
まとめ
「roic」と「roe」は株式投資の世界ではよく用いられるポピュラーな指標です。
企業価値をみるのに便利な指標なので投資を考えているなら意味や計算式を覚えておきましょう。