人間が持つ感情に「矜持」と「自尊心」というものがあります。
この2つにはどのような違いがあるのか。
この記事では、「矜持」と「自尊心」の違いを分かりやすく説明していきます。
「矜持」とは?
「矜持」は、「きょうじ」または「きんじ」と読みます。
「矜持」の「矜」には、ほこる、自負する、といった意味があり、そのような心を持つことを「矜持」と言います。
つまり、自分の能力が優れていると誇る気持ちが「矜持」なのです。
それによって、自分に自信を持つことができ、堂々と自信を持った振る舞いを行うことが可能となります。
堂々と自信を持って生きていくことができる根拠が「矜持」です。
「矜持」の使い方
「矜持」の場合、どんな、また、誰の「矜持」なのかを表す使い方として、「医師の矜持」や「歌手の矜持」などといった形で用いられます。
また、「矜持」の場合、保つや見せる、持つ、許さない、などといった言葉と組み合わせ用いられます。
「自尊心」とは?
「自尊心」は、「じそんしん」と読みます。
「自尊心」の「自尊」には、自分で自分を優れていると思い込む、うぬぼれる、といった意味があります。
そのような意味を持つ「自尊」に「心」という漢字が付く「自尊心」には、自分で自分を優れていると思い込む気持ち、自分を高評価する気持ち、といった意味があります。
「自尊心」の場合、あくまでも、自分自身の自己評価です。
基本的に周りからの評価に左右されることはなく、自分自身で自分は優れていると思う心が「自尊心」となります。
「自尊心」の使い方
「自尊心」は、高めるや傷つく、持つ、などといった言葉と組み合わせ用いられます。
「矜持」と「自尊心」の違い
「矜持」も「自尊心」も、自分自身に自信を持つことを意味する言葉です。
そのうえで、「矜持」は、堂々と自信を持って生きていくことができる根拠となり、「矜持」を持つことで、自信を持って様々なことにチャレンジすることができるものとなります。
一方、「自尊心」の場合は、自分自身を高く評価することとなります。
あくまでも、自分自身で自己評価を高くする行為を意味し、時にこの「自尊心」が生きていく中で邪魔になることもあります。
「自尊心」が強いばかりに周りの忠告なども聞き入れることができなくなり、周りから浮いてしまう、嫌われてしまうこともあります。
「矜持」の例文
・『私は歌手としての矜持を守るために日々、ボイストレーニングに励んでいます』
・『勤続30年の矜持を持って常に仕事に励んでいます』
・『彼はプロとしての矜持を人々に見せつけました』
・『このようなことで失敗することは、私の矜持が許しません』
「自尊心」の例文
・『入試に勝つためには、自尊心を持つことも大切です』
・『優等生だった彼女は、自尊心が傷つけられたことをきっかけに不登校になってしまいました』
・『彼には、もっと自尊心を持ってほしい』
・『自尊心が高すぎると、周りの人からの忠告すら聞き入れることができなくなってしまいます』
まとめ
このように、「矜持」は自分に自信を持つことで、悪い意味として用いられることはない言葉。
それに対し、「自尊心」は、自分自身で自己評価を高める行為で、時には悪い意味で用いられることがある言葉といった違いとなります。