この記事では、「善意無過失」と「善意無重過失」の違いを分かりやすく説明していきます。
「善意無過失」とは?
「善意無過失(ぜんいむかしつ)」とは、「ある物事について知らないこと+過失がないこと」を意味している法律に関係する言葉です。
「善意無過失」という言葉は、「権利義務などのある事実について知らず、権利関係などを調査・チェックしたりする責務を果たさないといった落ち度がないこと」を示しています。
「善意無過失」であれば「授権表示による表見代理」(民法109条)で契約は成立することになります。
反対に「悪意過失」であれば契約は無効です。
「善意無重過失」とは?
「善意無重過失(ぜんいむじゅうかしつ)」とは、「ある物事について知らないこと+重大な過失がないこと」を意味している法律用語です。
「善意無重過失」という用語は、「法律的な事実について知らず、最低限の注意を働かせれば違法な結果を予測できるのにそれを予測しなかった落ち度がないこと」を示しているのです。
その人に前記の落ち度がない「善意無重過失」であれば、「錯誤による意思表示の無効」(民法95条)を訴えることができます。
逆に「悪意重過失」の場合は、錯誤があっても意思表示は有効と見なされます。
「善意無過失」と「善意無重過失」の違い
「善意無過失」と「善意無重過失」の違いを、分かりやすく解説します。
「善意無過失」と「善意無重過失」はどちらも、「その人がある事実について認識すらしていなかった」という「善意」の意味を含んでいます。
しかし、「無過失」と「無重過失」の違いがあり、「善意無過失」のほうが「善意無重過失」よりも「免責(法律による有利な取り扱い)のハードル」が高くなっています。
「無過失」は文字通りの意味では「過失(ミス)がないこと」ですが、法律上は「ある法律的な事実関係・権利の有無などについて必要な調査をしなかったということがないこと」を意味しています。
一方、「無重過失」は「重大な過失(ミス)がないこと」であり、「普通の人が少し注意すれば気づける不利な結果などを見逃してしまうことがないこと」を示唆している違いを挙げることができます。
「善意無過失」の例文
・『不動産取引において善意無過失であれば、代理権を有さない代理人による勝手な契約でも有効になるケースがあります』
・『善意無過失である相手が一方的に不利益になるようなことがないようにとの前提から、民法の規定が行われています』
「善意無重過失」の例文
・『善意無重過失の人はその人本人には何の落ち度もないことから、ただの勘違いで不利な意思表示をしてしまったときには無効になります』
・『簡単に不利益を予測できたはずなのに予測しなかった重過失があると見なされると、善意無重過失に基づく法的な抗弁はできません』
まとめ
この記事では、「善意無過失」と「善意無重過失」の違いについて説明しましたがいかがでしたか?「善意無過失」は「ある物事を知らない+調べる義務を怠った事実がない」を意味しています。
一方、「善意無重過失」は「ある物事を知らない+常識的な注意を欠いていて気づかなかった事実がない」の場合に錯誤の意思表示が無効であることを意味している違いがあります。
「善意無過失」と「善意無重過失」の違いをリサーチしたい場合は、この記事の記述を読んでみてください。